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[162729] おかえりなさいが聞こえたら

詩人:どるとる


お父さんとお母さんと手を繋いで
歩く夕暮れの土手
小さな子供の瞳にはあの沈む夕陽はどんなふうに映ってるのかな

いつでも子供は
無邪気なものだから
ただ笑ってることが仕事みたいなもので
楽しかった昔を思う

お父さんは優しくて
お母さんはきれいで
そんなイメージを壊さないような景色の中で僕は笑ってたな

いつの間にか大人になって手を繋いで
道を歩くことなんて無くなったけど

今も家に帰れば
ただいまという
言葉に
おかえりという
言葉が返る

そんな何気ないやりとりが何気に幸せだったりしたりして

今日もそれだけで
ホッと安らいで

家族の有り難さを思う僕です

そして明日も子供のような大人の僕は
子供のように笑いながらも大人っていう堅苦しい世界の中で
誰かのぬくもりや愛が支えになって

恋しくなるのだろう
あの時の手を繋いだときの温かさを思えば

おかえりなさいが聞こえたら
ただいまを言わなきゃ
おかえりなさいが聞こえなくなったら
ただいまを言わなくなったら
寂しいから

お母さんがいたら
お母さんにただいま言おう
そして
お父さんがいたら
お父さんにただいま言おう

もしもどちらもいなければ
誰もいない部屋にただいま言おう

おかえりが永遠に返らなくても

そこにあるベットのぬくもりは冷たくても

お父さんもお母さんもきっと僕を空の上から見守ってるよね

また夕暮れの土手を今度は僕の子供と僕の妻と三人で歩こう

ほらね、これで寂しくないよね?

それでも素直な気持ちは心の中に降る雨が雨漏りのように
涙になる。

2010/12/05 (Sun)
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