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[165635] ふたりだけのストーリー

詩人:どるとる


あるところに
愛し合うふたりがいて仲良く暮らしていました

めでたしにはまだ遠いから 残された時間の中で たくさんの思い出をいっぱいいっぱいつくろう

君と出会うまでは
人生に絶望すらしていた僕だった
だけどある日
僕らは出会った
土砂降りの雨の中
雨宿りしていた
きっかけはすごく単純だった
傘ひとつ忘れたあなたに差し出した手を握った時
わかったよ
一瞬で恋に落ちたよ

そうして今になるまで 僕らはたくさんの時間の中で 愛を膨らませてきたよね
狭いアパートで
ふたりで暮らし始めて
やがて結婚して

貧しいながらも
幸せだったのに

どうして今は隣に君がいないの?

あんなに笑っていたのに
あんなに愛していたのに
残酷なほど運命はふたりを引き裂いた

出会ったことを後悔するような 気持ちになるくらいなら
最初から出会いたくなかったよ
でも、君に会えてよかったよ

悲しみも喜びも全て
重ねた唇も
あなたとじゃなきゃ
輝かなかっただろう

こんなに落ち込んだ顔をしていたら
あなたに叱られてしまうから
出会ったことの喜び
別れたことの悲しみ
僕は忘れないから
最後に君が見せたあの笑顔は僕の宝物

思えば何もしてあげられなかったね
傍にいるだけで満足してた 愚かな僕だった
でも誰よりも愛していたんだよ
でもどうして君は空の上にいってしまったの? わかってはいても 運命が憎らしい

笑ったことも泣いたことも 大切だけど
一度も君は僕のこと
責めることしなかった
こんなに不器用なのに
こんなに馬鹿な僕なのに
君はただ傍にいてくれて 何も言わずに僕の手を握ってくれたよね

愛していた僕の愛より愛されていた君の愛のほうが断然
大きかった
今気づいたんだ

この先もずっと
だれも知ることはないふたりだけの胸に残る痛みと思い出
色褪せても消えることはない

ふたりだけのストーリー。

2011/02/20 (Sun)
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