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[167860] 夏の幻

詩人:どるとる


逃げ水が夏をつれてくる

暑い陽射しに焼かれたアスファルトは沸点をかるくこえる

ひまわりが揺れて
スイカにかじりついて
あなたの焼けた
黒い顔が
優しく笑う
それが僕の夏

ああ 今も思い出すよ
あなたの笑顔
それはまるであったのかがわからないようなとても 幻に近い思い出 かげろうのような記憶

ゆらゆら 揺れて
ギラギラ 太陽に焼かれて
あなたが笑っていたこの縁側であなたと競ったスイカの種飛ばし

どちらが勝ってどちらが負けたかなんて今になったらわからない
わからない

かすかな思い出がこの胸をくすぐる

幻のような記憶
かげろうのようなあなた

今でも元気かい?
焼けた黒い顔で
笑ってるかい?

もうすぐ夏は来るよ
6月 7月 8月
梅雨が来て 梅雨が開けたら ただ暑くて
ああ それでも笑ってる僕らは元気だ

あの幻の夏にまた会いたくなったよ
風鈴が鳴る
ひまわりが揺れる
五月雨の足音

夏よ 早く来い
遠い昔が幻に思えるほど楽しい夏よ早く来い。

2011/05/05 (Thu)
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