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[168235] 二十歳を過ぎても

詩人:どるとる


見事なまでに散らかったワンルーム
ひとりの生活も
慣れてしまえば
なんてことはないもんだと ひとり貧乏くさく笑ってみせたよ 友達はあんまりいなくて生まれてこの方彼女もいたためしないけど たばこもお酒も女もやらない健全なる日々

なんとなくいつもは開けないベランダの窓を開けてみれば 見上げた空にきれいな月が浮かんでた

今思えば 簡単なことだった気がするあれもこれも 今では夢のようなものさ
好きな人がいても
おっかなくて
腰が引いちゃって
気持ち言えなかったそんな事も全部
取り返したくても
今はもう無理みたいさ

ため息で始まり
ため息で終わる
1日は 輝く未来を生きる誰かとは比べものにもならないくらい貧相な光乏しい未来

だけれど

僕は僕なりにこんな今を楽しんでいるつもりなのさ
言い訳もたくさん並べるけどそれくらいでいいと思うから
卑屈も愚痴も言うさ
悪口も陰口もたたくさ
人生はイカれてるくらいに長いから
多少バカやらせてよ
いい夢見させてよ

べつに誰のせいにもしようとか思わないけどね なんとなくなんとなくいたたまれないから 今日も涙流れちまうまえに
布団の中にもぐって
寝たふりするんだ 二十歳もとうに過ぎた男の悲しい日々

窮屈な サイズの合わない靴を履いて靴擦れ起こしたり ばかばかしいから
酒も飲めないままで
たばこも嫌いなままで 女も苦手なままでずっといこう
わざわざ変える必要ないさ 僕は今の僕を気に入ってる

夜がだんだん 深くなる 深くなる
季節はもう初夏
5月の雨に濡れて
ごまかす 素振りで背中向けた 僕の目には涙が光る きらり生きてる 僕は生きてるんだ

二十歳もとうに過ぎた男の言い訳とは思えなくても
聞いて欲しいことがたくさんある
わかって欲しいことが腐るほどあるから
このまま 舟を漕ぐよ
生きて 生きて 最後まで僕らしく

二十歳を過ぎても。

2011/05/19 (Thu)
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