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[168276] 人という生活

詩人:どるとる


人が人を愛するのに理由なんて多分要らないんだよ
その人が好きだから
その人と一緒にいたいから
それだけで人は人を愛しているんだ

家族の団欒の中
友達との時間の中
恋人との時間の中
独りきりの部屋の中
すべてがすべて
人生の一ページ
少したりとも
無駄にはできない

嫌いなはずのあの人が見せた涙は 僕の心までも優しさで満たした 気づくと肩をかしている僕がいた

人が人を守ること
人が人を助けること
人が人を愛すこと
人が人を思うこと
理由もなくただ僕ら
誰にでも優しくできるから いつでも僕らは馬鹿なくらい人間らしく 人間くさく
誰かと今日も同じ人間同士 助け合って
生きて行くのさ
独りでは出ないような力も二人三人と数を増やせば できることも増えてゆく
今日も嫌いなあの人とも 嫌々でも言葉を交わし 同じ場所で生きるなら せめて
人と人との付き合いとして 挨拶くらいは交わしたい
無愛想な態度ではこっちまで 暗い気持ちになる だから全ての人に人としての振る舞いをしたいよ

理由なんてまるでないけどなぜか 僕は
それが人という生き物のあるべき生活だと思う

今日も嫌でも顔くらいは合わすから
嫌いな人も好きな人も うるさい上司にも 生意気な後輩にも
人らしい顔で
人らしい言葉で
向き合いたい
自分の中の悪意を
見つめるように
他人のあらを
自分のあらと
重ねて 考える
はたして自分は
他人に文句を
つけられるほど
できた人間なのかと。

2011/05/21 (Sat)
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