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[149236] 一億人分の光

詩人:どるとる


楽しいことも悲しいこともすべてはまるで嘘みたいに終わる
他人は今日も僕の悲しみなんかまるで屁みたいに思っているのだろう
そんな卑屈な考えをため息に変える

今日一日でどれだけの涙を流しただろうか
消費するのはカロリーよりも元気だね

さよなら もう二度と会えぬ一日よ
僕たちは夕暮れに溶け込みやがて見えなくなる 今日からは誰もいなくなるよ
明日の今日に僕らは向かうから 夢の中で瞬間移動していつのまにか今日の景色とよく似た景色へ行き着く 安いアパートの部屋
散らかりっぱなしの部屋 山積みにされた雑誌が崩れる音
そして誰かさんの誰かさんのため息が切なく弱々しく響く部屋

今日も疲れきった顔でたいしたことのない日だったねと嘘までついてずい分気力すり減らしている僕は疲労感たっぷりで床に着いた

今日の扉はもう開いたもう一度開けることも開かれることもないさ

だから生まれてしまう完全なる理想を打ち立てたあとの結末としてはじき出された不完全なるパズル
とうとう今日も完全にはならなかった

でもそのくらいが妥当だと思うから僕は後悔や未練を残しても扉を閉めるとき
さよなら言うなら
後悔も未練も諦めつけられる
なんせ僕らもうここには戻れず過去へは一秒たりと戻れぬから

だからこそ閉ざされた部屋 それは今日
そしてそれはすなわちかえれぬからこその思い出という宝物の証です

僕らは写真やビデオで残して思い出を保存したつもりでいる
血の通った感動までは保存しきれないけど気休めの程度でも
僕らは大事にしたいと思う 振り返れはしてもけっして逆走できない過去という名前で区別された日々を心に写し取るんだ
いつでも どこでも
今この瞬間でも

閉ざされた部屋の向こうにほらそれは光ってる いつかは消える そのために生きる 悲しくも強い光
ほらこの世界にいる全ての人がそれを光らせている。

2009/10/31 (Sat)
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