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[179514] ノック

詩人:どるとる


声がする 君の声がする
顔が浮かぶ 笑う君の顔が

幸せなんて それだけで
本当の幸せなんてそれだけですむよ

ドアをノックするように
簡単に 単純に 質素に
当たり前に ありきたりに
僕は向き合うし 手を繋ぐ

愛も平和も 何もなく
あらすじはただどこまでも紙切れに棒一本描くように
何のこともないものだ

昼下がり公園のベンチに座る
ここから見える景色の向こう側
心をのぞけば 邪魔くさいものばかり
それなら最初から
見えたままそのままを僕は愛したい

だからあなたの声を
僕は好きになる
声の奥の淀みは
見なくてもいいさ
愛とは違う何か
手のひらで隠してる
闇を 僕はあえて見ないでいる

夕暮れがきれいだとか
断崖はこわいだとか
そんなまっすぐななんのひねりもない
見たままの美しさに僕は感動や趣を見いだしたい

だから目の前にドアがあったなら
僕は迷わずノックする

例えばそれが君のドアなら うれしいな
例えばそれが君のドアなら 幸せだな

ただそれだけのことです

そこに思考は皆無だ
ただ、少しひび割れた心の破片が 胸の奥に 突き刺さるような そんな感覚があるだけで

通り過ぎる時間に
未練はなく
後悔もなく

ただ、それを愛と呼ぶのなら 世界は一人一人の人の心のドアをノックしているようなものだと知る

もう痛みは伝わってるはずだ

少し 何かが 間違いなんだと気づくとき

振り返った 場所に
誰かの涙があるのなら

あなたは昨日より優しい人になれるはず
あなたはきっと誰よりもあなたを愛せるはず。

2012/11/15 (Thu)
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