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[180481] ほころび

詩人:どるとる


僕はなんだ 君はなんだ この世界はなんだ わからないことばかりだ

テレビに映る世の有り様を 僕は遠くあざ笑う
自由という不自由の中で 孤独と同居して暮らす

傾いた月 窓の外に浮かぶよう 割れた鏡に映る歪んだ笑い
傾いた月 昨日の落書き かき消したはずの誤字脱字 それは

階段上がる ひとつずつ 死へと近づく
感じて触れて 乱れてひび割れて 心は風
憎しみにも快楽にも染まり溺れる

傾いた月 ほころびの世界の途中 ほつれた糸のような この世界
傾いた月 僕は綴る 世の不思議世の不埒
言葉は鎖 己を縛る

世界を 閉じこめたような箱庭で 僕は滑稽な道化芝居をする

どうだい? 君は
どうだい? 僕は

答えは知らない
最初からない

ただ、悲しみや歓びが残るだけ
大事な人が旅立ったあとにでも

変わらない街並みと人々の流れがつづくだけ

まるで何もないように
はぐらかすように 地球は回る

たくさんの人の涙を
たくさんの人の痛みを
はらんだままで

僕は道えない 誰かの礎の上を歩く

出来合いのような世界だ 味は退屈なものさ
ほころびはまだしばらくつづく

遠い場所に毛糸玉のような途方もない時間を残したまま。

2013/01/20 (Sun)
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