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[180968] ただひとつの今日を

詩人:どるとる


そして僕の暮らす
街に夜がおとずれて
ひとり僕は夕食をとる
すっかり疲れ果て
誰もがその足を家に向かわせ 帰路を辿る
何もなかったようで
何かがあった
そんな気がする
何も得ずにいるようで
何かを手にした
そんな気もする
とりあえず僕は夕食を残さず食べることにした
一生懸命 平らげたお皿はやがてきれいになり 花柄模様が顔を出し 僕は手を合わせて御馳走様をしたのでした
ただひとつの今日をのぞいて これからおとずれる全ての今日が僕の瞳に映っても
それは今日という今日とは 比べものにもならないほど似ても似つかない紛い物
だから今日は今日だけで終わりです
今日しかないもの
今日しか出会えない人たち
今日しか見れない空や表情
ひとつも残さず見れたかな ひとつ余すことなく出会えたかな
それだけが少し気がかりで 夜もろくに眠れない
だけど一握りほどの幸せが 僕の胸に生まれていた
それはちっぽけな始まりの系譜 幸せの福音
そして僕は言葉もなく 扉を閉めるようにそっと瞼を閉じたよ
特別なことはなくてもいいから今日みたいにただ穏やかな青空広がる明日があるように
世界があるように。

2013/02/23 (Sat)
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