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[150293] マンホールの上は

詩人:どるとる


僕はどこへ向かっているんだろう
自分の行き先さえわからない
ただ一生懸命に毎日を走っているだけで
日々は風のように過ぎてゆく
自分らしさも叶えたい夢も掲げてた理想もなんだか有耶無耶になってしまった

いつの間にか
マンホールの上
マンホールの蓋を引かれたらそのまま暗い下水道の中へ真っ逆さまさ
それでも自分の居場所が見つからない僕には避難する場所といえばそこしかない気がしてさ

見上げればビルとビルのあいだをただよう月が今にも落下してきそうなほど地面と月までの距離が近い

僕はどこかへ行くために旅立ったわけじゃないんだよ
きっと宛てなんか誰にもない
たどり着く場所はみんな同じ場所
されどそれまでの場所はみんな違う

たとえ 雨の中を濡れながら歩くとしても
僕はせめて生まれたことの喜びをひとつでも見つけられたら
それは永久に僕を照らす光にも変わるから
ああ僕はまだマンホールから足を洗えない
ここが僕の居場所さ

小さなこの部屋でただ
あたりまえな日々を暮らす

小さな宇宙の小さな物語を日々書き足しながら時々修正加えて
生きていけばいい

だから 僕は
マンホールの上に立つ
ここが僕の人生で最初で最後のホームグラウンドさ
ここからもしいつか旅立つ日が来てもまたここに戻る日が来る
そんなふるさとみたいな場所

ほらまた 僕に郷愁の思いを抱かせる
後ろ髪をそっと引いて

それでもね風に吹かれた僕はまた旅に出る
戻らない 戻らないよ
新しい 僕になるまでは

ふるさとよ
だから暫し待たれよ。

2009/11/22 (Sun)
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