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[190490] 家出少年

詩人:どるとる


遠い昔 一人出掛けた宛のない 旅は3日と持たず 終わった

少しの食料と 少しのお金があれば
どうにかなると思っていたんだ

自転車にくくりつけた荷物と
胸には 夢だけ 詰め込んでいたよ

いくらだって笑えたはずなんだ
あの時の僕には何より僕が味方だった

世界の果てまでも行けると思った

自転車一台あれば 何も恐くなかった

テントを張って ランタン灯して

見上げた空に星が流れた

あの旅が教えてくれたのは

僕のちっぽけさと世界の果てしなさ

だから 3日で終わらせたよ

どしゃ降りの日ずぶ濡れで 帰った家出少年

一人では出来ないことを知り 少し大人になった

でも同時に一人でも出来ることもあることを知ったんだ

強くなったぶんだけ弱くなって そのぶん優しくなった

僕は涙を流した日にはじめて 見えなかった愛が見えた気がする

夢なんてすぐ見つかると思った

でも探すだけでへとへとに疲れ果てた

傷だらけになって 泥だらけになって

ほほを涙がひとすじ流れた

あの旅が無意味じゃなかったのが
わかったのはだいぶあとになってからで

今なら少しだけあの日の僕を褒められる

多少背伸びしてるけど 大人になった家出少年

残された 恥ずかしい足跡と 高く掲げた理想は

今は 大切な思い出のひとつだ 捨てるのはやめよう

僕のせいで負った傷だって 紛れもなく宝物だ

世界の果てまでも行けると思った

自転車一台あれば 何も恐くなかった

テントを張って ランタン灯して

見上げた空に星が流れた

あの旅が教えてくれたのは

僕のちっぽけさと世界の果てしなさ

だから 3日で終わらせたよ

どしゃ降りの日ずぶ濡れで 帰った家出少年。

2016/01/04 (Mon)
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