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[190931] グッドモーニング

詩人:どるとる


君が生まれてくる前の世界に
太陽が落ちて 熱せられた
フライパンの上で 命がきつね色に焼き上がるのを待ってた

目を覚ました君は きれいな声で
うれしそうに悲しそうに泣いてみせたの

僕はただ君が 早く歩けるように
手伝いくらいしか できないけど
ずっと見守っているよ

グッドモーニングって笑ってる 君がそこにいるだけで
大嫌いなはずの世界は 眩しいくらいの光で満ちてく

君だけをとらえたままの 瞳のカメラのアングルはずっと
君を追いかけていく

映画の中のヒロインのように 雨に濡れても傷ついても君はきれいだよ

多分何が言いたいかっていうと
簡単に言うと愛してるってことなんだろう
ずっとそれを伝えたいのに はぐらかすために 笑ってた

すっかり暖かくなった街並み
やがて 並木通りは桜の花に埋まる

くだらないことでむきになってみたり
仲直りをする瞬間のホッとする顔

大切なものは いくらでもあるはずなのに
どれだけ手にしても足りないのはなぜだ

お腹は 炭水化物をつめこめば だまらせることができるのに
心はそうはいかない だから人は人を愛す

昨日食べた夕飯の献立さえ どうでもいいような毎日に
君はくれたんだよ 忘れられない味わいを

僕と君を主人公にした 映画は続いていく
誰も邪魔はできない

出来損ないのあらすじは 目には見えない台詞を読み上げる

つまりは 君は僕の中での重要な役回りってことで
そんな遠回しな言葉はもういらない
愛してる それだけ伝わればあとは なすがままだ

目を深く 閉じる 二三回の深呼吸のあとの 静かな世界に

君は したたかに立っていて 僕はただそんな君を見ている
そんな風景の一部でありたい ただそう願った

愛してる ただそれだけを伝えるために生きていた
今も生きている 君と。

2016/02/16 (Tue)
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