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[118195] 北パプリカ半島のじいさん

詩人:タンバリン




幸せ過ぎて、飛行機雲が隕石に見えた時。



僕は見とれて、ジュースを地面にこぼしたんだ。





パプリカ半島、目を閉じてそこへ行く。

すぐに着くんだ。疲れているから。



白い風が吹いて、

頬をかすめたら、

何もかもが変わる。



こげ茶色の灯台には、

水色のカモメたちが。



でも、何だろう。赤と緑のカタマリが空をたくさん覆ってる。



僕は立ち止まって、胸に右手をあて、


飛んで来た一粒に手をかざしてみたんだ。


大きさが変るだけで、また空に戻っていく。



灯台に続く道から、


くたびれた背広を着たおじいさん


僕の方に歩いてきた。





「5年ぶりじゃのう、まいったわい。」


「――の大発生じゃよ、この歳になれば感覚で分かる。」



「若者が生み、若者が消す。あんたさっき触れていたんだろう。それも分かる。」




「こういうヤツはなぁ、世界で片付けねばならん。わしもまぁ、よく闘った。」



「世界ったって、そんなこと、きっと誰も彼も。」



「どこまでが世界か?あんたの中が、世界じゃ。あんたの心が、いつも大切な所を占めておる。」




「あんたは精神世界で、何かをこぼしたんじゃろう」




「しかも、一人ぼっちだと思っとる。」




「若者よ、そいつと同じものを、どこかで誰かが抱えておる。」



「一つ一つと苦しみながら、お前との出会いを待っておる。」



聞いておくれ。



―簡単な魔法がある。



―いいかい、そいつは。



「あの時」の気持ちでいる事だよ。



「忘れた」って、


何にも偉くないだろう。




2008/01/02 (Wed)
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