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[103119] そこの交番で

詩人:シゲヲ

雨が降っていました。
その日はサンダルで、歩きにくい雨の中、友達に会いにいきました。

ザワザワと人混みの中を進みます。

色んな繋がりがあってそれを振り切って、裏切ってまでここに来ました。

当たり前だけど。
少し面倒でした。
歩みを止めればいいのに、止めらない。

いつのまにか・・・・・・そこの交番に立っていました。

そいつは酔っていて、自分が誰か確認できないほど弱っていました。

自身の邪魔をするものに牙を向き、敵対心をありありと見せる。

まるで野性の獣のように。凶悪な目で自分を睨んできます。

昔・・・・・・
誰かがつぶやきました。

「夢であるように、昔のことだけを思い続けたい」

自分は笑いながら、

「夢だろう?所詮」

「夢を抱えることが出来るやつはいいさ。俺は昔の夢しか見れないから」

「昔の夢?」

「楽しかった思い出を夢見る」

夢は過去を照らし、未来を作る。
彼は遠まわしにそう教えてくれたような気がしました。

その顔は一瞬笑って、
それに答えるように自分も苦笑しました。

「良く殴られたな」

それに彼は嬉しそうにつぶやきます。

「あー……また手が壊れた。変なもん殴ったからな」

「無茶するからだ」

「人生無茶してなんぼだろ?」

そうやって厄介な縁(えにし)は続く。
死ぬことさえなければ。
生きていれば何度でも続く。

「酒、買うか?」

「いい。十分身体に入ってる。それに……傷にしみるからな」

自分だけ酒を買って飲みました。

不思議に、その酒は身体にしみることはなく、

心に、しみついてきました。

2007/06/08 (Fri)
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