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[153017] うたをうたうと

詩人:剛田奇作

歌をうたうと


心が恋したみたいになる

歌をうたうと


内臓がバラバラに
好き勝手に走りだしていく
毛根もみんなあさっての方角を向いてる


歌は
手綱をふりきって


水の上も
あの高い山の花びらの上も


走り出してしまう


歌を うたうと


全身の血液が


開けたてのCOLAみたいになる


歌をうたったあとは


きっと夜風が締めのお茶漬けみたいに身体にしみる


うたう私は


色鉛筆で書いたような
牧歌的な故郷に


いる


ひどく潜在的な場所


調子がよくても


歌をずうっとうたってはいけない


現実と、うたの狭間をたゆとわなければ


次のうたは生まれないから





2010/02/06 (Sat)
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