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[181306] あなたと、クローバーに捧ぐ

詩人:剛田奇作

それは、一種の破壊音のような

それは、秘密の暗号 難解で 愉快な


退廃した都市に降りそそぐ 静かな稲妻

あなたは、いとも簡単に 私の砂時計を止めてしまう

そして

イタズラに、気まぐれに
なんどもひっくり返す


研ぎ澄まされた 瞳の 澄んだ輝き


自由も、神様も、悪魔も、天使も
たちどころに笑い転げる


気の利いたあなたのジョークに


心地よい銀の鈴の声
あなたの 声


なにやらぶつぶつ 文句を言っている
懐かしいような メロディーまでつけて


なんと、 ここまでが単なるー
あなたのイビキだったとは!


深い 、喜びの数だけ
冷たい痛みが訪れる


一生のうち 僅かなひとときにしか 出逢えない感情にさえ
その裏側にピタッと張り付く 代償


穏やかな午後の クローバー達でさえ、残酷な代償を求めてる



あなたはその代償を
まるで 缶コーヒーでも買うみたいに払う


生まれたての 稚魚みたいに
あどけない 無防備な眼差しのまま


本棚にびっしり積もる 埃の意味さえ

あなたの心では明快な童謡くらいにしか 映らない


あなたはその代償に
自分の薬指さえも すんなり 渡してしまう


相手が誰かも 確かめず


痛いよ って
涙を流しながら

でもー 次の瞬間には

傷が治ったら また来るよって 微笑みながら



それは、一種の破壊音のような

それは、秘密の暗号 難解で 愉快な



退廃した都市に降りそそぐ 乳白色の稲妻


あなたはイタズラに 私の砂時計を止めてしまう


純真に 研ぎ澄まされた 黒い瞳の三日月は
あなたの微笑みの
決まり切った形


鳥肌が立つほど 真っ直ぐ
視線をそらせないほど 正確に


年月を
幾つ重ねても


滑稽なほどに 意味はなく


真実をさらりと携えて





2013/03/23 (Sat)
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