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[189161] 咀嚼

詩人:さみだれ

私の半分は死んでいて
腐敗していく過程の末
もう半分が意地悪く
ヘラヘラ笑っておるのです
さて、私とはなんぞや?
と、問うてみた次第でございますが
はて?と首を折るもの
苛立たしく咳き込むもの
隣の女のけつを撫でるもの
様々な顔がのっぺらぼうでござますゆえ
皆同じに見えてしまいまして
ヘラヘラ、ヘラヘラと笑っておるのです


廃人の一生
彼は枯れ枝を折り続けた
名前など知らない
どの季節のものかも
誰が用意したものかも知らない
彼は白いベッドが汚く変色していく過程を
死ぬまで見なかった
知らなかったのだと思う
彼のもとにはついに誰も来なかった
最後の心音の余韻を誰も聞かなかった
彼の手が力なく落ちたとき
やはり枯れ枝は折れた
たった一本の枯れ枝を
永遠に折り続ける未来を
やはり誰も知ることはないのだろう

あなたが異常であるからこそ
私は人々に愛されるのです

そんな神様の夢を昨日見たんだ

私は死んで
鬼に骨を抜かれ
私はもう一度死んで
舌を切り落とされる
私はまだまだ死んで
腸に羽毛を詰め込まれ
私はいつもいつも死んで
人間になって生きる
私はついに死んで
人間になって生きる
恋人は脳を抜かれて
空を見ていました
私の方はといえば
ヘラヘラと笑っておりました

2015/09/14 (Mon)
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