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[101755] 〜君という花,僕という水。〜

詩人:桃鈴

君という花,僕という水。


月明かりの下で,君という美しい蕾が開きだしました。

僕は君を咲かせるために土の中に潜り込み,君に吸い上げられるのを待っています。

そして君はある日,空を自由に舞う蝶に憧れを抱くのです。

白に限りなく近い薄紅色の君は,あの蝶の煌びやかな色彩に恋をしたのです。

…けれど蝶は,1ヶ所に留まることを知りません。

新たな蜜を求め羽ばたきを止めないのです。



君は僕を吸い上げることを拒み始めました。

君は枯れてしまうのに。
“それでもいいの,これでいつか風が私を乗せてくれるわ”

……君は細くなった茎で笑うようにふわふわと風になびいています。

“そして私も空を舞えるでしょう?”

拒まれた僕は,何時までもこの場には居られません。

太陽に焼かれ空へと還って逝くのです。

…出来れば君のその生命を長らえる力となりたかったけれど,


僕は空へと還るのです。

―――でも僕は約束しよう。

いつの日にか僕はまた,君に降る雨の雫となるから,どうかそれまで。君は君でいてください。

例えばそれまでに何度枯れてしまったとしても,
その生命を種の中に宿し,僕が君に届くのを待っていてください。

その時こそ君に息吹を与え咲かせる力となり,再び空を自由に舞う鮮やかな蝶に君が出逢えるよう,



僕は君の蜜になりましょう。



“色”を持たない僕は君の儚げな白や淡い薄紅が,とてもとても大好きなのです。






2007/05/11 (Fri)
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