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[189121] 弱虫

詩人:とーれぱすて

空席がない電車の中
腰の曲がったおばぁちゃんが
電車に揺られながら必死に立っているとき
何人のひとがどうぞと言えるだろう。

何十人もの人が行き交う大きい交差点
お腹が痛い、と
うずくまる人がいたとき
何人のひとが声をかけるだろう。

誰かが救いを求めているとき
私はその人を助けることができるだろうか。

誰かがするだろう、そう思って
目を背けてはいないだろうか。

救える苦しみ、迷い、そして命を
私は平然と見過ごしているのではないだろうか。

たくさんの人がいるからこそ
それだけの人を救うことができるはずなのに
たくさんの人がいることで
たくさんの人が困っている。

グッと下唇を噛むことしか
できないわたしは、
結局、偽善者だ。





2015/09/09 (Wed)
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