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[43585] 不発少年

詩人:高級スプーン

ナイフを持って
立てなかった

昼休み
廊下を歩いていた
気付かれるように
皆を見ていた
遊びに夢中になって
誰も見向きもしなかった
この廊下だけが
僕の居場所だったのに
なんだか居心地が悪い
飛び降りようかな

どのグループにも
溶け込めず
自分から
孤独になったのに
友達が欲しいと叫んでる
声にならなくて
机に頭を埋め込んだ
どうしようもない奴だ
助けてくれよ

家に帰って
密林の唄を聴いて
ニヤけて涙を隠した
親にも話せない
歪んだ気持ちが
悶々と膨れ上がるばかり
導火線に
火を点ける前に
今日も一人眠ったよ
なんだかな
何もせずに
また一日が過ぎた

話かける前に
自ら皆を遠ざけた
そして廊下から見てた
それ以上
何もしなかった
殻を破く努力もしないなら
爆発なんて
無理に決まってるだろ
ポケットの中
握った拳
結局、空っぽのままだった

不発のまま春が終わる

それから
十年の月日が流れ
僕は此処に立っている
もう戻れない
あの頃を思うと
今も変わらず
もどかしくなる
大切なもの
届きそうで
手を伸ばさなかった
臆病な少年時代

不発のまま幕を下ろす

2005/08/08 (Mon)
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