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[55699] 多面的我儘

詩人:高級スプーン

透き通る位
白くて
触れると
壊れそう、を
包み込む
何もない欲求の黒と

人格の詰まれた
山の表面と云ったら
そんなものばかり
流行り拡がり
嫌われ外され
時代、時代に合わせて
見離され埋もれていく
素顔の仮面達
同じに見えるのは
仕方のない事だ

認められる感覚は
真似事を
模倣した錯覚に
酷似する影響で
君を歪ませたのが僕で
正確には
多重にある僕の
一つの局面に
君の面影が残っている

外より内に
人数を増やして
孤独を紛らわせるのが
当たり前な世の中
けれども
多面的に生きていても
使用頻度が高いのは
そのうちの五つか六つで
残りの使われない
僕や君の
一面一面は
陽の当たらない深海へ
頭から沈められる

僕等のこの会話を
何時何処で
誰が聞いているのか
知る由もないが
水面下で苦しむ
描かれない僕等を
幾ら想像しても
それは
君の中の一人について
自らを装う君が
妄想しているだけで
僕等の底まで
決して辿り着けない

流して読んで
忘れてしまう
僕等は浅く
残らず消える
それでもいいと
投げ遣りな態度で
記した我が子は穴で
受ける側であって
愛されない存在も
時には
背筋の凍る微笑みを
投げ掛けてくる

蛇の足を付け足す
無作為に増殖する
感覚を乱す偽善者から
心を閉ざして
無意味に迫る

現実を真実を
リアルを
時の差を超えて
この手に

2005/11/13 (Sun)
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