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[60929] さようなら

詩人:高級スプーン

あの時
世界が終わっていれば

何をしても
何もかもが
当たり前に
なってしまった
どれだけ
危険を冒しても
慣れる事に
気付いてしまった

何度
刺激を手に入れても
いずれ飽きる
もっともっともっとって
限りなく
欲しがる姿は醜くて
見えなくて

殻に閉じ籠もったまま
息をして
繋がりを持ったり
断ち切ったり
息をしなくなって
幾らでも下に
堕ちたって
変わらないのが現状で

ごめんなさいよりも
ありがとうよりも
さようならを
上手に言えなくなった

何も言わずに壊れた方が
少しはラクに
それが
最後の言葉に

残された後
それまで何事も
無かったかのように
やり過ごせていたのに
突然
反転し
拒絶反応に襲われて

痛い痛い痛い

嵐のように
上下する感情
左右される身体や心
苦しんだ末に
選んだ道程の先は
冷たくて
とても静かな
此処は何処だろう

終わらなかった
けれど
先の見える世界で
ねぇ
次はどうすればいい

別れた後が
怖くて仕方がないから
告げられないまま
離れていくだけ

さようならをして
ひとつ残らず
消えてくれたら

あの時
世界が終わっていれば
こんな存在も
許されなかったのに

2005/12/26 (Mon)
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