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[68285] 寂しさ静かに過ぎるまで

詩人:高級スプーン

アスファルト照り返す
陽の光から目を背け
空を仰いでしかめ面

不機嫌なまま日陰まで
一直線に滑り込み
隠れていると
奪われていく体温
これ以上何も
失いたくないし
寒いし不気味だし
そそくさそそくさ
その場を後にする

ところで俺は
何を持っている
必要なものは
大切なものは
常に不鮮明
手に取ってみても
イマイチで
人も物も信じられない
ケータイを持つ手
震わせながら
電話をかけた

愛が置いてないなら
安心は売ってないか
妙な問い掛けに
電話口の先の
相手は笑った
俺でも耐えうる場所は
俺が居ても良い場所は
まだ
安らぎ求めた先の
相手は本当に
君なのか
笑い方が
いつもと違う
コイツは偽物だ
じゃあ誰だ
怖くなり
電源を切って走った

歪めた顔を戻すよな
楽しい話したいだけ
目覚めたら疲れが
一滴も残ってないような
そんな眠りが欲しくて
愛する人が恋しくて
走った

この俺
どうにかなりそうだ
自分じゃ何を
するのも怖い
誰か
どうにかしてくれよ

上も前も下も後も
見たくないでも
見えているから
生きているから
だからどうした

真夜中に沈んで
溺れて苦しくて
次の日の朝も
スイッチ入らず
力は抜けたまま
明日は来るのか
分からないけど
今は生きている
不確かな命に
まとわりついて
生きろ
君の元へ
逃げろ
早くしろ

どんな目に遭っても
いま生きていること
幸せに感じるのは
人の勝手だろう
口を尖らせ
泣きながら
怒鳴る
お前は誰だ
君に会いに来たのに
もう
訳が分からない

信じているのは
見当違いの答でしょう
何が
だから
誰だ
目の前に居るのは
目の前に映るのは
信じられる君は
何処に行った
疑問符ばかり
浮かぶ部屋

打たれる頬
叩かれる胸
泣きじゃくる誰か
誰なんだ
なんで泣いてんの
何してんの
笑ってしまう
混乱だ

馬鹿馬鹿馬鹿
罵られる俺
うるさいなもう
黙れよって
抱き寄せた

信じられる君
居ない今
何疑っても
意味がない
黙って誰かを
抱き締めた

寂しさ
静かに
過ぎるまで

2006/03/04 (Sat)
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