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[86537] それからのハト

詩人:高級スプーン

それは朝
曇りの日
薄暗い路地
うつむき加減で
歩いていると
視界に入った
それからのハト

公には表せない不安が
胸に迫る時も
光は耿々と

照らすだけだし
こぼれそうな
愚痴や苦悩
なんとか抑えて
頭の中へ押し戻す

よく分からないを
信仰する
あなたの
優しい笑顔が怖い
巻いてくれた
バンソウコウ
少しキツくて
痛いんだけど

後ろ手に
ペンを持たせて
描いた背景
少し見て
スグに目を逸らす
嘆息して
やっぱりかって思う
いい意味での裏切り
など感じさせない
グチャグチャ
放置していたら
誰が掃除をしてくれる

誘われても
その気になるな
寂しくなった時
頼るのは物だけ
雰囲気だけで繋がって
サヨナラをしたら
いつも一人

仕方ないよ
他に方法はないと諦めて
申し訳なさそうに断って
通い慣れた道ばかり
選んで歩く

利用されても
文句を言うだけ
手立てはないって何も
考えてないんだろ実際

特殊な関係も
長くは続かない
先行きが怪しくなって
いつかは終わりを迎える
暗示はやがて
平穏を呼び
思い出して泣いても
巻き戻せない

何事もなく平和だ
意味もなく順調だ
幸せに生きて
息を引き取る
それはそれは
素晴らしい時間でした
自嘲気味に
現状は語る

思うのは勝手だ
理想だって掲げろ
理屈だって述べろ
ここでなら平気
死角から叫ぶだけなら
事故は起きない

馬鹿なのに
空を飛ぶから
無知なのに
外を歩くから
ぶつけられて曝け出す
自己責任の筈なのに
後片付けは他人任せ
そんな姿は
見たくなかった
出会わなければ
悩まなかった

あっ
もうこんな時間
そこまで進んで
気が付いた

寝呆け眼
スーツに鞄
家を出てから
数メートルの場所で
迂闊にも
触れてしまった
これからのヒト

2006/09/27 (Wed)
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