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[153496] 乗り込む

詩人:村和緒

ゴリラが運転する列車が鉄橋にさしかかると
急ブレーキがかかった
「馬鹿野郎俺に運転中は電気ショックを与えるなと
言って居るだろう」
どうもゴリラの運転士に誰かがイタズラをしたらしい

猛吹雪の中ただでさえ視界不良の難しいシチュエーションに
ゴリラは少し気が立って居た

客の中の誰かが格差がさーと言っただけで
「馬鹿野郎俺の前でカクサの話はするな」
と、いらだった

ゴリラは運転士をやる前はホームレスで乞食をやりながら
生活をやりくりして居た時期があった
そのときのあだ名が「ひだのあれ」だったので
何かの拍子に誰かが「ほらあれよあれ」とか
「ひえー水が止まらない」と言っただけでも
取り締まっていたほどなのだ

そこで堪忍袋の緒が切れたゴリラはある決意を秘めて
社長室に乗り込んで行くと奇跡が起こるのだが
それはまた別の話である

2010/02/19 (Fri)
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