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猫の影の部屋  〜 「Gratia.」への投 票 〜

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[155834] Gratia.

詩人:猫の影

手元の煙草に火をつけた
ため息が形をもった

涙はどうもあたしには合わないわ
そう言ったあの日の女は泣いていた
星のない夜だった

笑ってやり過ごせることばかり
そのはずなのに
大変遺憾ながらうまくはいかない
声は掠れて走り去る喧噪が連れ去って行った


足元の石は素敵だった
拾われることを拒んでいた

そういえばあんただれだっけ
そう言ったその女は嬉しそうだった
形容できない笑みだった

許容できない矛盾をやり過ごす
それはできていたはずなのに
誠に遺憾ながらうまくはいかない
大変遺憾ながらうまくはいかない



気付けば自分も微笑んでいた
その矛盾を許していた



愚かな不合理を書き散らした
それはできない相談のはずだった
誠に遺憾ながらうまくいってしまう
大変遺憾ながらうまくいってしまった


女の頬の涙の跡がやけに美しかった


2010/05/08 (Sat)
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