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[65870] 橋、五月への

詩人:丘 光平


この橋の
いくつもの切り傷は
研ぎ澄む夜の大きな鋏のせいだろう
そして、この湾曲は
押さえつけるものと
支えようとするものとの
せめぎあう冬だ

 橋は告げた
この冷たく遠いわたしを越えたなら
あざやかな緑におおわれ
花々の狂い咲く五月はあるのだと―

 揺れるあこがれが
素足になって、また歩みはじめるとき
星のない孤独者の夜は
しずかに灯ってゆく
おくれていた朝の光のように

2006/02/07 (Tue)
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