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[101253] 鏡の惑星

詩人:八朔

メンソールのかおりが鼻につく惑星、の、中心で泣く子供が一人。

(…か……を……)

声は遠くか細い。聞こえない。僕はいつからここに?覚えていない。…困った。

うわ。混ざっていく。僕の頭と関係なしに体が混ざる。

(…れか……を…で…)

どうやら僕の耳が悪いらしい。そういえば目も悪い。見えない。顔がみたいのだが。誰だっけ?

「君は誰だっけ?」

叫ぶも届かず。成る程、向こうもか。これは片付くのに時間がかかる。
仕方なく近づく。…熱い。
彼は惑星か?近付くと体がやけるように熱い。
(※ノイズ)
この音はなんだ?
あ、しまった。
また混ざってしまう。
僕が薄まる。
(※ノイズのいず!)
近付くと音量が上がる。
痛い。
耳は悪くないのかもしれない。
馬鹿にうるさい。

(だ……ぼ…の…な……を……)

うるさくて聞こえない。

「君は誰!?」

苛立ってきた。
行くのをやめようか?
後ろを振り向く。
これでは戻るほうが大変だ。

歩く。
仕方なく歩く。
耳から血が流れた。
それでも僕は彼に会わなくちゃ。
原因はわからないけど、
目的と方法は感じるから。

(だ…かぼ…な…を…よ…で………い!)

ああ、知ってる顔だ。
久しぶり。

(誰か僕の名前を呼んでください!)

名前がわからないのか。
じゃあ僕も君のことがわからないよ。
ごめん。

触る。
触ることが救いになるだろう。
ごめんよ。

ひんやりとした感触。
なんだいこれは。
君は人じゃないのか。
いやこれは。

「誰か僕の名前を呼んで下さい!」
(誰か僕の名前を呼んで下さい!)

ノイズはやむ。
声はこだまする。
一人しか住まぬ惑星。

「こんにちは」
(さようなら)

2007/05/02 (Wed)
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