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[95244] 疑似

詩人:noa


子宮の奥の方で貴方までもをまるごと。呑み込んでしまいたいとさえ思う夜、
月の放つ引力でせかいは歪みをとめられない。そう、ちょうど広がってゆく波紋の様に。

打ち付ける腰がひどく単調な動きしかしないのに飽々して、男の体を無理矢理引き剥がすとマッチを探した。
唇から肺までのわずかな距離、ただの煙を往復させているそれだけの行為。
あぁ、これは。男の腰つきと何ら変わらないな。
そう思うと口の端がゆるく歪んだ。

たとえばあれ、が貴方なら
打ち抜かれているの、がわたしなら
もうせかいなんてどうだっていいのに。
貴方がわたしを呑み込むのだって、わたしが貴方を呑み込むのだって、どちらでも構わないのに。

ねぇ、つづきをしよう?
この体に穴が開きつづけるのをとめられないわたしは、埋められない穴を、くだらない切那にすりよる。

歪んでいくのは、せかいじゃなくてわたしだけだ。
月の満ち引きで狂うのも、最後の五つを数えるのも。
支配しているつもりになろうとなるまいと、支配されてゆく、わたし。
手を引かれて、振りほどいて、手を引かれ、て、繰り返しを繰り返す。

何かを囁きながら腰を振り続ける男に覆われてわたしは、ほんの一瞬、願うように描いた死にたくなる位に青い空を薙ぎ払って、
嘘みたいに腕をやさしく回しては、
何を思うでもなく背中をぎゅっと抱いてみた。

2007/02/02 (Fri)
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