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[15856] 季夏〜そのかなしみの終わりに〜

詩人:望月 ゆき

夜半の網戸に
数回、アブラゼミは体当たりをし
ジジジッと最期を知らせた
アブラゼミも網戸もぼくも
誰も悪くはないよ


 かなしみは今、どこらへん?


いつかの記念日の時計
いつかの8時を告げたまま
それが朝でも
それが夜でも
ぼくは多分ひとりだったろう


 かなしみは今、どこらへん?


シャツが濡れている
肩と、ひじと、背中と
思いもかけないことって、ある
夕立ならよかった
ただの雨粒だったなら


 かなしみは今、どこらへん?


目を閉じる砂の上
もうじき、花火があがったら
照らされてしまう
後ろ手に隠していたものも
ぜんぶ ぜんぶ
そうしてそこが


 かなしみは今、どこらへん?




終点ならば、泣いてもいいよ。



2004/08/11 (Wed)
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