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色彩の部屋  〜 投稿順表示 〜


[13] 灰の子の詩
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彼は言った

真実は曖昧だから俺を疑え

彼は言った

俺の言葉や音楽を簡単に聴きとられる訳にはいかない

彼は言った

俺は夢からいくつかの和音を持ち帰った

彼は言った

そこには美しいモノも数多く在ったが俺には掴む事が出来なかった

彼は言った

イカれた詩人や文学者達を恐れ俺は寝床を隠す

彼は言った

俺は想像力の欠落した奴を哀れむ

彼は言った

俺は恐怖を喜びに変える術を知っている

彼は言った

俺はある種類の契約を好みそれのみに支配される

彼は言った

俺は炎 色にすれば火の色彩

彼は言った

俺のテリトリーは深海の生物が支配する

彼は言った

俺は焔 この宇宙は俺に似ている

彼は言った

俺は死に灰になるがその灰は俺だ

彼は言った

お前等はお前等の幸福を追求すればいい

彼は言った

俺の望みは宇宙のほんの一欠片が欲しい

彼は言った

俺は開花する

彼は言った

お前の遥か上空 起こりうる完全で俺は鳴る

彼は言った






誰も俺には成れない






まるで神にでも成ったかの様に哀れに

彼は言った


2010/11/19 (Fri)

[15] 灰の子の詩 2
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彼は不完全な焔を気取るが

唇の腫瘍で呆気なく死ぬ

唇の腫瘍で呆気なく死ぬ

間抜けな死に方だと誰かが言った

ホラ吹き野郎だと誰かが言った

冷ややかに寒いその場所で

彼の妻は泣いたのか

確かに炎は全能では無い

確かに焔は全能では無い

彼は神秘主義の中に身を隠した

この世界はゴミ溜め

人の体は冷たく汚れている

しかし

美しいモノはやはり美しく独立して存在していた

この世界で

全ての汚れや憎しみを受け入れて尚も美しいのだ

深海が未だ未知の領域の様に

渦巻く宇宙の謎に魅力されるかの様に

灰の子

彼は夢を見た

不思議な和音達が浮遊する不思議な夢

何かを生み出す時 人は自分の想像力に驚く

生み出した本人にさえ何故それが美しいのか理解出来ない

彼の体はそれとは対象的に汚れていて醜く人間そのものだったからだ

彼は全てを恐れ神秘主義に身を隠した

間もなく

彼は唇に出来た腫瘍で呆気なく死んだ

ご近所は影口を表にして噂している

妻は「恐らく」泣いている

その頃

彼の精神はもはや肉体を離れ

彼の神秘的主義の様にぼんやりぼんやり

遙か上空の大気と混ざっていた

物質は真実だけを突きつけ全てが曖昧に染まってゆく

物質だけが真実だとゆうのであれば全てが曖昧に染まってゆく


2008/01/16 (Wed)

[17] シーラカンス以前の魚
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真夜中

電気を消したユニットバスの中で

シーラカンス以前の魚の事を想像する


深い海の底を泳ぐ

彼等の呼吸器官について想う

彼等のフォルムや皮膚について想う

その目が見つめるモノについて想い

思わず小さな風呂の中に潜る


水中に響く心臓音

電化製品が微かに渦巻く音

想像力が暗闇の海に沈めて

「シーラカンス以前の魚」が泳ぎ出す


そうそれは真夜中

真っ暗闇に降りてきた

孤独な人の音楽

孤独な人達の為の音楽




2008/01/23 (Wed)

[18] 月光
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君は

焦らず

静かに

輝く


揺らめいた

夜の海が

君を吸収する


波が

水面に

君を乱反射させる


僕は

変わりゆく闇を見つめる

君の光が届かない所

その部分を見つめる


ぼんやりと

視力だけを残して

思考は

思考は考える事を止める


時間が

当たり前の様に流れ

僕は誰かの風景の一部になる


君は輝き

四十億年もの孤独を尚も好む




2008/01/26 (Sat)

[19] 孤独な人達の音楽
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頭の中にはこんなにも色んな事が渦巻いているけれど

現実には何も無い

この世界は巨大な空白

何がどのくらい出来たとしても

半分子供のまま

想像力のベクトルが変わったって

僕には孤独な音楽しか残らない

それでも

生み出す事と撒き散らす事が違うというのなら

なぁ

孤独な人よ

孤独な人達よ

バッハは神にそれを捧げた

僕はあなたに捧げよう

これから僕はピアノを弾くから

こんな空白だらけの世界のどっかで

あなたにだけ届けばいいと思う

あなたにだけ届いて欲しいと思う


2010/11/12 (Fri)

[20] 葬式
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葬儀場

誰かの涙

小さな石灰色

大きな箸



骨壺

坊主の話

香典

寂れた田舎の公民館

冷めたオードブル

喪服だらけの酒席

親戚達の赤い頬




2008/02/05 (Tue)

[21] ルサンチマンの午後
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もう少し太陽が欠けたら

河原を散歩しよう

あの哲学者さんもお師匠さんも

愛と風景だけには志を奪われただろう

ライン川に落っこちた

主帰らぬ

空っぽ小城

射抜く的無い

古びた空砲

ウォークマン聴きながら歩く

ルサンチマンの午後にただいま



2008/04/04 (Fri)

[22] 都市の風景
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正史が21世紀を迎えたばかりの頃

彼女は完全に消える方法を考えていた

残骸 塵と木っ片や人間

いつかみんなも死んでしまって

誰もが君を忘れても

小さな細胞のどっか

遥か上空大気の色や

深海太古の生物達

地底に暮らす土竜になって

貴女は存在し続ける

例えば僕の足音さ

完全な消失が在りはしないように

完全な静寂など存在しない

折り重なった雑音の波に

身をまかせるのが人生か

折り重なった雑音の波に

身をまかせるのが人生なのか


2008/04/12 (Sat)

[23] water & nihil
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海底神殿に行きたいよ

沈み込んだらその気持ち

空白に放り出された体

気持ちは前に行こうとする

浮つく夜の住人達

時々好きなモノが信じられなくなる

海底神殿に行きたいよ

冬の空に似てるかな

洗濯機が壊れて

電化製品が微かに渦巻く音を聴いた

洗濯機が壊れて

電化製品が微かに渦巻く音を聴いた




2008/04/14 (Mon)

[24] 曲がっても曲がってもの街で
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どっかの誰かの思い出が

残骸になって

バラバラ空き地に散らばっている

少しだけ目をやってすぐにサヨナラ

五線譜にしたらつまらなそうだとか

割り切れるならそれでいいから

Hello 東京

また今日が流れて

代々木三丁目の裏路地を

ぶっ壊れながら

迷子になっていた

2008/04/24 (Thu)
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