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謳器の部屋  〜 投稿順表示 〜


[12] 失くした物と見つけた物
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夜明け前に部屋を飛び出し
狂ったように彷徨い歩いた

大声で叫びたいのに
声はかすれて 言葉にならない

走り出したいのに
足がもつれて しゃがみこんだ

滑稽なのは
かすれた声でも もつれた足でもなく

今この瞬間の私の顔

何の表情もない
今この瞬間の空虚な私の表情

何を叫びたかったんだろう
何処に行きたかったんだろう

どうして失くしてしまったんだろう


呆然と立ちすくんで
見上げた空には
取り残された 最後の星

弱々しい光を瞬かせ
燃え尽きそうな 最後の星

そして
そのとき溢れ出した涙が 
私の最後の星

2006/06/05 (Mon)

[13] 雨音
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雨の匂いが
遠い記憶を呼び覚ます

あの頃好きだった曲を聞き返してみたりして

「きっと君は 君以外 愛せない」

そんな詞に動揺する今

別れを知らなかったあの頃の自分を悲しく想う

ああ、この雨はきっと
あの日に降っていた雨なのだ

だからこの雨音は
こんなにも暖かい

こんなにも
私に優しい

2006/05/24 (Wed)

[14] 優しさのかたち
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優しさを
形にするとすれば

きっとこんな
小さな花束

貴方から
初めてもらった

小さな優しい
こんな花束

2006/06/02 (Fri)

[15] 逃避行
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旅の始まりは
貴方を失った日

貴方を
もう一度手に入れるための
長い旅

でもその道のりはあまりにも遠過ぎたから

今はもう

貴方を再び取り戻したかったのか
貴方から逃げたかったのかさえわからない


きっと
目的地を見失った時から

この旅は
逃避行になっていた

それは
愛しすぎた貴方から
私を守る為の逃避行

そして
終着のない
逃避行

2006/07/25 (Tue)

[16] 銃声
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あの頃は
きっかけを求めていただけだったのかもしれない

でも
それをくれたあなたには
本当の私を伝えておきたかった


高すぎて音もなく飛ぶ
鳥みたいな飛行機が
私の心象風景

何も遮るもののない場所で
一人でずっと誰かを待ってたよ


真夜中の静寂が感情を増幅させるから
解らなかった事が解ったような気がしたんだ

遠くで花火が打ち上げられて
それが始まりを報せる銃声に似てたんだ


何を知りたかったんだろう
無知を恐れる子供みたいに貪欲に

それを知れば世界が変わるって思ってたのか

どこまで知れば満足だったんだろう

それと引き換えに失うものがあるというのに



そう
この世界では躊躇してると気付けば闇

でも
何処に行けばいいんだろう

わかってるよ
止まってることに罪悪感なんて持たなくていいって
わかってるんだよ


でも
これから何かが始まろうとしてる予感がするの

一緒に行きたいよ
今なら何処にだって行けそうな気がするのに

一緒に生きたいよ
ずっと同じ道を歩いていけると思ってたのに


小さな灯が見えてきて
目が眩む
暗闇に慣れすぎてたんだね

そろそろ日常に戻らなきゃ

きっとそこには何かが待ってるはず
あの日みたいな奇跡のような何か


ねぇ
聞こえる?


さっき耳元で
銃声が聞こえたんだ

背中を押すように
銃声が聞こえたんだ

あなたがきっかけをくれたあの日のような

きっとまた終わる
それでもまた始まる

そんな始まりを報せる
銃声が聞こえたんだ

あなたが側にいないのに
あの日と同じように

2008/02/27 (Wed)
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