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鈴砂の部屋  〜 新着順表示 〜


[19] 真夜中の迷い鳥
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あなたはそこにいる
手の届かない処に

あなたはそこにいる
声の届かない処に

そこにいるあなたは
私には遠い処

ならば

あなたへの言の葉を
紙飛行機に託して
この窓から押し出して

紙飛行機は
真夜中の迷い鳥

遠回りをしても
ぎこちなくても
いつかあなたのもとに

2005/05/25 (Wed)

[18] 愛猫
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今日も俺の脚は
自然と廃棄場へ向かう

ここには残飯と
残飯を喰らう輩が群がる
俺の同類達だ
ここは俺達の餌場なのだ

月の時間も太陽の時間も
同類達が絶えることは無い
何故なら俺達には
ここより他に
しばらく縋る場所は無い

残骸の山には
いつも誰かの思い出が溢れてる
膿んだ餌に頭がいかれ
狂い死ぬ同類
意味を為さない声で喚く者
己の肉を裂いた者もいる
それでも俺達は生きんが為
喰わざるを得ない
俺もいつものように貧った

今日の過去は主だった
俺以外の誰かも一緒だ
一番新しい腐敗臭
俺は何も考えないようにして
残飯に顔を埋める

ここは残飯の様な思い出が積もる
俺達が縛られている廃棄場
俺の分を全て消化するまでは
ここが俺の居場所だ

そうしてひとしきり味わった後
俺はまた路地裏に帰る
俺の眼の形をした月が
やけに眩しく映えていた

2005/05/22 (Sun)

[17] 絶体的破滅遊戯
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運命を打ち鳴らす鐘の音が聞こえる
心音の如く 狂ったように
鳴り止まない鐘の音が

さぁ始まる楽しい遊戯
もっと楽しませておくれ
逃げ惑っておくれ
閉ざされた場所で
あがく姿を見せてくれ
八つの仮面で持て成そう
死の恐怖で持て成そう
楽しい遊戯の幕開けだ

もっと楽しむがいい
腹の底から味わうがいい
蜃気楼の中で
隠されしものと
思う存分戯れるがいい


楽しい宴もここまでだ
止まぬはずの音色も止んだ
終わりを吠えて沈黙した

そこで絶えた調べは何
鳴り続けてた鐘の音か
それとも

2005/05/20 (Fri)

[16] さぼてん
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ここでキミは眠る
死んだように
いや
生きてる様な顔で
冷たく息絶えて

僕が抱いてあげたら
いつもキミは
とても嬉しそうに微笑んでたよね
なのに何で
どうして今日は笑ってくれないの
まるで僕が悪いとでも言いたげに
僕の掌に紅く色を残して

キミが欲しいから
抱き締めただけなのに


キミのココロに葩咲いて
その全てを貪欲に貧りたい
降る雨に溺れるその日まで
脆い髀肉に杭を立て
老醜した血餅に根付き
キミを
根こそぎに

奪わせて

2005/05/11 (Wed)

[15] 流水牢
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足元を見たら
水が流れてた

気付いた時には何処からか溢れ
一杯に満たし
此処からさえも溢れ出た

零れ落ちて
流れ流され
何処へ行くとも知れぬ流れが
彼方に 何処かに消えてゆく

俺はここから先に進めないというのに
お前等だけは
一体何処へ行くというのか
一体何処まで行けるというのか

俺を置いていかないでくれ

2005/05/10 (Tue)

[14] 夢と君と地下鉄
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夢を見た
君の夢
初めて君が夢にいた

赤いネクタイの似合う君は
黒いコートと帽子姿の私と一緒に
何処かから帰る途中らしかった

地下鉄の中で
楽しそうだった
顔は見えなかったけど
そんな気がする

それを私は
離れたところから見守っていた
手には刀を持っていた

ああ
そうか

君の横にいたのは
私じゃなかったんだ

夢を見た
君の夢
別れて初めて
君の夢を見た

2005/05/08 (Sun)

[13] Roundabout
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聞こえてるよ
全部
わざと聞こえるように言ってるんでしょ?
アンタが言ってる事
全部聞こえてるよ

いつもただ
迂回してるだけ
直接は言わず
ただ遠回しに
その銃口を向けるの
強引に軌道を反らされ
いつも刃を向けられるなら
その切っ先
無理矢理ねじ曲げてやる

あぁ
またそんな事言って
誰がそんな事言った
いつもやらないって?
冗談じゃない
記憶ってのは
なんともまぁ脆い物よ
アンタのその盲目に
美味しそうに血をも貧る
焼けた弾丸をもって乾杯

2005/05/07 (Sat)

[12] もしも、或いは二択、或いは
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例えば街で独りお茶会をしている時
偶然にも君を見つけたとしたら


もしもその時
君がすっかり変わり果てていたら
君は僕に気付かず
もしくは何を語ることも無く
或いは完全に無視を決め込み
僕は硝子の向こうを悲しく眺め
街の真ん中で泣くだろう

もしもその時
君が全く変わらず
懐かしいあの時のままであったとしたら
君は僕に少し哀しげな視線を向け
僕が永く待ち焦がれていた
あの日のような優しい声を
少しだけ聞かせてくれることだろう

だが君は気付く
僕の眼には何も映ってはいないと

何故なら
僕はその時にはもう
すっかり変わり果てているだろうから


もしもそんな日が来てしまうのなら
或いは
終わりだけ忘れて
同じ一年だけ
ずっと繰り返して

2005/05/08 (Sun)

[11] 森の魔女へ(署名無し) -4枚目-
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私は祭壇にいます
ここは私が何人もの人の為に
何度も償えない罪の為に
何日も泣き続けた場所で
そしてこれからも涙を流すであろう場所です
ここは私が
毎日何処にも届かぬ祈りを捧げる場所です

今日は二人の為に祈りました
彼女がせめて魂だけでも恋人と会えているように
彼女が彼の横で安らかに眠れるように
長い時間をかけて祈りました

そして私はまた
今までと同じ様にこれからも
村の為に尽くすのです
罪滅ぼしの為に
村の為に身を捧げるのです

こうして私は村が滅ぶまで
同じ罪を重ね
罪滅ぼしを続けるのです
禁を犯した私に天がお与えになった
魔女という名の烙印を背負って
私はこれからも
愚かしくも生き続けるのです

2005/05/05 (Thu)

[10] 森の魔女へ(署名無し) -3枚目-
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また月が同じ高さで輝いた日
私は台座の上で目覚めました
私の上にはあの時のまま
一人の女性が冷たい身体を投げ出してました

私は台座の上から降り
彼女の身体を抱きしめて
いつものように
三日三晩泣きました
声を上げずに泣きました

疲れ果てて泣き止んだ私は
最後に告げました
今まで長い間ごめんなさい
ありがとう
ごめんなさい ごめんなさい

私は彼女を抱えて家を出ました
森を抜け村も通り過ぎました
私は墓場に行きました

そこに彼女の大切な人が眠っているのです
彼女がずっと昔に
必死になって会いたがった人が眠っているのです
長い間私が彼女を奪っていた事を
彼は許してはくれないのでしょう
私は摘んできた花束を捧げました
摘んだばかりなのに
先端はもう色を喪い始めてました

私は寄り添う様に眠る二人に別れを告げました
手が土で汚れて涙が拭けなかったので
私は泣いたまま真っ暗な家路につきました

2005/05/05 (Thu)
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