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アルの部屋  〜 投稿順表示 〜


[180] 月と蛍
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明滅する光
人知れず
喘ぐように空へ

誰を探して

夢中で
伸ばした
手のひらり
夜にゆらり
彷徨って

誰を待つやら

雲の羽衣
身に纏い
雨にほろり
風にはらり
寂し気に

誰に焦がれて

満ち欠けを
ただ繰り返す
密やかに
呼吸しながら


月に恋した冬の蛍

2010/10/21 (Thu)

[181] 風の名
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物心いづれ
先立つものかを知らず、
物在りと言へども
在りと存知せざれば、
さながら無きが如し。
汝あらねば我無く、
我無ければ汝無し。
かく愚案巡らせば、
人一人にて生くるにあらず
一人にて死ぬるにもあらず
夢みがちに現つを渡り、
現つに夢を占いつつ、
もろともに生き、
一切を具して
黄泉の国へと舟出するなり
かく思へば
喜びも哀しみも
吹き抜ける風に同じ。
皆人等しく来たりて、
復た去りゆくのみ。

2010/10/23 (Sat)

[182] 1番食べたいもの
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何食べたい?

2番目に食べたいのは
パスタ

え?
じゃ、1番は?

きみが作るパスタ

要するにパスタ
食べたいだけじゃん!

2010/10/26 (Tue)

[184] 曲がった木
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真っ直ぐな木は
社会の役に立つから
真っ先に切り倒されて
曲がった木ばかりが
後に取り残されて
持て余される。
決して端整ではない
その歪な容姿は、
懸命に光を求めた
苦闘の日々の証。

みんながみんな
真っ直ぐでなくても
いいんでない?

誰かに軽くポ〜ンと
肩を叩かれたような
木枯し吹き抜ける
そんな夕間暮れ。

2010/11/01 (Mon)

[185] いい加減にシナよ?
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満員電車で
足を踏まれた方が
反射的に
「あ、すみません」

傘を傾けなければ
擦れ違えない狭い道で
自分は濡れても
相手を先に通してあげる

そんな優しいこの国の
文化と国民性が好きで
それが通用しない
世界が切な寂しく

他人の電柱に
ションベン滴れて
ワンワン吠えているのが
野良犬みたいで傍ら痛い

2010/11/01 (Mon)

[186] イーブン
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その少女は
外に出たがらなかった
母親も頑固に反対した
それでも
説得を続けて
なんとか少女を
外へ連れ出すことに
成功した

半日楽しく過ごした、
その帰り道に
少女が突然
「…停めて」と呟いた

「どうしたの?」
怪訝そうな
ボランティアの青年

「いいから、停めて!」
少女が語気荒く叫んで
とうとう
泣き出してしまった

スカートから伸びた
少女の足を伝わって、
オシッコが滴り落ちている

青年は
車椅子を押すのを止めた
彼女が
外に出たがらないのは
それも
一つの理由だった事に
初めて気付いた

しばしの沈黙のあと
青年は意を決したように
車椅子の少女の前に立ち
「ぼくを見て?」と言った

青年のズボンの前に
液体が見る見る滲み始め
それは
ゆっくり内太股を伝い
スニーカーを濡らして
地面に水溜まりを作った



「…これで
おあいこだね?」

明るく笑って言った
青年の頬を
一筋の涙が零れ落ちた
少女も照れたように
笑いながら泣いていた

2010/11/02 (Tue)

[187] 左足
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麻痺したその左足は
もう片方に較べて
半分の太さしかなく
握り拳分も短かった。

普通なら嫌がるはずの
体育の時間も
みんなより
一つ年上の君は
屈託もなく笑って
楽し気に見えた。
かけっこはいつも
みんなの背中を
見ながら
追いかけて来る。

運動会の日
左足だけゆるゆるの
決して新しくもない
靴を履いて
いつもの通りに
君はビリだった。
それでも
波打つように
懸命に走る君は
誰よりも
毅然としていて
子供だった
僕の目にも
眩しいくらいに
輝いて見えた。



月日は流れ
ふと入った
街のメガネ屋さんで
偶然君と再会した。
失語症だった同級生の
今は朗らかに
喋れるようになった
お嫁さんと
彼女に抱かれた
生まれたばかりの
女の子に
目を細める君は
やはりあの頃と
同じように口元を
逆三角形にして
高らかに笑いながら
しっかり生きていた
街のメガネ屋さんの
若き店主として。


君は左足を
バネにして
全身全霊で
走り続けていたんだ
あの頃から今まで
ずっと。


…店の外に出て
空を見上げると
灰色の雲間から
斜めに射し込む
光の微粒子たちが
淡くキラめいていた。

2010/11/07 (Sun)

[189] マイナーコードで歌わせて
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世の中に
明るい歌ばかり
流行ればいいのに
嫌いな奴だって
少しはいるけど
あんまり上手に捌けない

両目を瞑れば
存在しないのと同じ
だから
すべてが僕次第なのにね

世界中に
争いの火種ばかり
蒔かれてくけど
日輪の光浴びて
水をやらなくても
飽くなき花は咲き誇る

両目を開けば
全部同じに見える
だから
世界は君次第なのにね

太陽を直視すれば
目が潰れるでしょう
だから
印を結び半眼で眺めてる

この社会の
ホントのとこを

2010/11/22 (Mon)

[190] 上を行く奴
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なに食べに行く?

たまにはピザがいいな

なら、
ピザって10回言ってみ?

ピザ、ピザ……ピザ

ここなんて言う?

ピッツァ(笑)

帰国子女かよ!

2010/11/22 (Mon)

[191] ホワイト・クロウ
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カァ〜とひと鳴き
見上げれば
夕暮れの電柱に
真っ白な鳥一羽

んなバカな

でも鼻先膨らんだ嘴
体長やシルエットは
紛れもない
カラスそのもの
疑う僕に
も一度カァ〜

白いカラスって
やっぱりいたんだ
吉兆か
不吉な前触れか
1秒迷って
ニンマリ微笑んだ


買い物帰り
エコバッグ片手に
ボタン式の横断歩道の前

行き交う車の流れに
敢えて
竿差すような気になれず
急ぐ旅でもあるまいにと
誰か来るのを待っていたら
早速、路の向こう側で
黒い人影がボタンを押した

信号が変わり
左右に視線を配って
道路を渡りながら見直すと
もうそこには誰の姿もない
代わりに
横断歩道の真ん前の
立派な門構えの
日本家屋の扉が
バタンと閉じる音が
聞こえた

いつまで待っても
自分でボタン押さなきゃ
信号は青に変わらないぞ?

間抜けな僕の替りに
親切な人がボタンを
押してくれたのだろう


もしかしたら
その人は
あの白いカラス
だったのかも知れない

僕は2秒考えて
またニンマリ微笑んだ

2010/11/27 (Sat)
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