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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[162] ブラックホール
詩人:さみだれ [投票][編集]

日向は遠い
敷居の向こう
誰かが過ぎれば
行けるのかしら
瞼を閉じた記憶
嘘でもいいから
もう一度だけ
星が見たいの
奪った光の数
誰にも知られないように
ポケットの奥へ
仕舞いこんでた
でもまだ足りなくて
誰かが過ぎるのを
指をくわえて
待っているの
日陰は涼しいけど
思い出にはならない
誰の胸にも
輝きはしない
奪った光の数
数えることもやめた
伸ばす手だってもう
疲れてしまったの
足を止めた記憶
嘘でもいいから
もう一度だけ
星が見たいの
眩しくないだけ
優しくなりたいの

2011/07/05 (Tue)

[163] オーバー
詩人:さみだれ [投票][編集]

夢を見ていたような
淡い光の靄
目は覚めている?
手は動かないのに
今なら言えるよ
好きだと言えるよ
だけども口が
動かせないんだ
ただの物体
存在するだけ
それを認める
他者がほしいだけ
夢なら覚めていいよ
深い闇の懐
もう眠っている?
応答もないのに
息は続いてる
心は生きてる
だけども君が
見えてないんだ

夢を見ていたような
淡い光の靄
触れた手の行方
深い闇の懐
目は覚めている?
好きだと言える
だけども君が
そこにいないんだ
だから口が
動かせないんだ

2011/07/05 (Tue)

[164] 急がなきゃ!
詩人:さみだれ [投票][編集]

お気に入りのチョッキ
似合わないなんて嘘
そんなこと聞いてる暇なんてないんだから
ほっといて!
急がなきゃ遅れるんだ
お茶なんか飲んでる余裕なんてない
ほらまた時間が一秒
進んで戻らなくなった!

革靴が固くて
擦れて痛いけど
そんなこと気にしてちゃ
走れないんだ
間に合えばいいな
間に合うんだ絶対
間に合うために今
急いでるんだから!

ちょっと通してよ
お願いだから
お気に入りのチョッキ
誰が引っ張ったの!

ああ、もうこんなときに!
止まらないでよ!
ああ、もうこんなときに!
早く飛んでって!

2011/07/06 (Wed)

[165] the Harp star
詩人:さみだれ [投票][編集]

星になった
暖かい青に
隣に寄り添って
眠る青に
音は聞こえない
触れもしない
ただ包むように
溶けるように
星になった
冷たい赤に
隣に寄り添って
歩く赤に
どれだけ地球から
離れていったとて
引き合ってる
手を繋いでる
星になった
たくさんの中のひとつに
心があるから
ちゃんとわかる
君の重力も
その輝きも

2011/07/07 (Thu)

[166] くじらの背中
詩人:さみだれ [投票][編集]

帆を張って
海を渡って
国境も越えて
青空をなぞって
心を捕まえて
逃がしてあげよう
いつか地面を歩くだろうから

嵐がきたって
海を渡って
飛んでった気持ちを
追いかけるように
涙だって
青空に吸い込まれて
小さな不安だって
風に乗って
高らかに歌おう
いつも希望だけは捨てないできたから

ざわめく波を
受けとめて
さりげない風を
受けとめて

2011/07/08 (Fri)

[167] 群青色
詩人:さみだれ [投票][編集]

ビー玉の中に
取り残されたまま
いつもの言葉も
言えなくなったまま
アスファルトばかり
歩いていたら
死んでしまうかもしれないんだ

夜の部屋はさみしい
君の背中をさするよ
どこか遠くへ
行けたならと願うけど

ビー玉を覗けば
取り残された僕が
いつもの景色に
溶け込もうとしてる
目に見えないものまで
映そうと躍起になって
くたびれて眠るんだ

夜の部屋はさみしい
君の気持ちも変わってく
幸せってなんだろう
問いかけることも忘れて
僕ら混ざってるんだろう
ビー玉の中で
いつものように
約束して守るんだ
そうやって夜を越すんだろう

2011/07/09 (Sat)

[168] ポスト
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届いてるかな
僕はもう送ったよ
誰にも言えない
心を少し欠いて
傷つけるかもしれない
誇りになるかもしれない
その胸にちゃんと届いてるといいな
謝ってるんだ
ほらここに紙コップが
声を詰めてるんだ
仕掛けは秘密だよ
これまでのこと
これからのこと
全部届いてるかな
もっとたくさん出せたらいいのにな
心が見当たらなくなるくらい
欠けたって送りたいんだ

もう読んでる頃かな

2011/07/10 (Sun)

[169] 天国への階段
詩人:さみだれ [投票][編集]

虹色の光
白い大理石の雲
歩くたびに花をそえて
前には男の子が
後ろにはお婆さん
隣には愛しい人の影
太陽は遠いまま
月だけが近くなる
呼んでる
海の底から
その声に背を押され
歩いてる
空の果てまで
身を焦がして

2011/07/11 (Mon)

[170] 僕らの行進
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目の前に見えるものすべてが
目に見えて美しくなった!
へんてこな笑顔も
愛せるようになった
それって素晴らしいこと?
素晴らしいこと!
誰かがそう言うんだもん

僕を作ったロボットが
僕に作られてる花が
聞こえないふりしながらも
こっそり笑ってる
そんな君たちは悪だ!
それって悪いこと?
教えてよ…誰かさん!

足跡がついたよ
立ち入り禁止の芝生に
美しさを奪った?
悪いことをした?
神様はどうして自由なの
どこにもいけない僕たちは何なの
誰かが言うんだもん
決められたことは守りなさい
僕は何にも決められない
何にも言えないんだよ

2011/07/11 (Mon)

[171] ケモノたちは宴のあとに
詩人:さみだれ [投票][編集]


やりきれない気持ちをよそに
乳房にかじりつく

世界を呪った

強い人は弱くない
弱い人は強くない
だから、食べる

くだらない日常を背に
首筋に歯をたてる

鬱陶しい!


それが本音
君たちを見る僕たちの本音

つまらないでしょ

笑っている間は何もかも忘れて
泣いている間に反芻するんでしょ

世界なんて…

そんな鼓動が空を伝って
聞こえてきたらどうしよう

世界なんて、壊れてしまえば…

そんな絵空事が地面から這い出て
足を掴まれたらどうしよう

世界なんて、壊れてしまえば、壊れてしまえばいい、いらないいらない、全部いらない!

泡まで持っていかれたよ
持っていけよ

やりきれない気持ちをよそに
手を絡ませる

世界を、呪った




2011/07/12 (Tue)
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