ホーム > 詩人の部屋 > 赤坂 菜葉の部屋 > 投稿順表示

赤坂 菜葉の部屋  〜 投稿順表示 〜


[28] Auld Lang Syne
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


昔みんなで騒いでた
学校近くの店の中
逆光に浮かぶシルエット
胸がトキめいた
久しぶりに見る君は
化粧なんかしてて
大人びたジュリエット
時は流れていた

4つの季節
2度も過ごして
それぞれの道歩いてきた
巻き戻せないあの頃に
心はチクチク疼くけど
さよならって言えた事
間違いじゃなかったよね

昔ふたりでハモってた
懐かしいあの歌を
星空の下デュエット
月が頬笑んでた
誰が君を輝かせてるの?
少し口惜しいけれど
3拍子のメヌエット
奏でたりはしない

2つの未来
1つに出来ない
それでも僕らは繋がってた
取り戻せないあの頃に
時はチクタク刻むけど
ありがとうって言える事
間違ってなんかないよね


さよならって言えた事
ありがとうって言える事
あの頃には戻れないけど
大人になっても
僕らは繋がってる

2009/10/30 (Fri)

[29] 深海魚
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


時代の波に
乗れない潜水士
今更海には戻れないのに
子宮の息苦しさを懐かしむ

光の届かぬ深海で
ガラスの破片さながら
感覚だけ研ぎ澄まし
救い求める胸ヒレ
パタパタ扇いでも
端目にはバイバイと
手を振る様に映って
助けていいのか半信半魚
内圧だけで自爆するから
共に浮上するのは
救助活動ではなく
殺害行為に等しい

死は生の翻訳語だと
律儀な逐語訳で
解ったつもりになって
酸欠のDiverは
したり顔したり
藤原のかまたり

2009/10/31 (Sat)

[30] 立冬月心
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


先に好きになったら
負けた気がする
眠った振りしてても
ウサギみたいに
ピンク色に染めた耳
ただ聴いているの
あなたの足音判るのよ

先に好きだと言うと
損した気になる
背中向けていても
ウサギみたいに
言葉に出来ない想い
ただ待ってるの
あなたの声が癒すのよ

半分欠けた心
満たせなくて
冷たい夜空眺めては
白い吐息が冬仕度

月はあんなに丸いのに
心はこんなに震えてる

2009/11/07 (Sat)

[31] カイワレ・ガンバレ
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


一見
同じに見えて
ゆっくりや
せっかちな
性格があって
十種十色な
茶色の種たち
殻を貝割り芽が出ても
曲がってスネたり
真っ直ぐ伸びたり
それでも
太陽の光を浴びて
ひ弱な体
薄緑に染めながら
健気にみんなが
空を目指している

がんばれカイワレ

日曜日には
サンドイッチに挟んで
食べちゃうけど

2009/11/08 (Sun)

[32] 左手でサヨナラ
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


利き腕で

致命傷与えるより

左手の小指

骨折しても

不器用な誠を貫く。


痛いよ、痛いけど

きっと

お互い忘れられずに

一生覚えていられる。

2009/11/10 (Tue)

[33] レンジ・ルーレット
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


コンビニで
お釣りが777円とか
何げに見た時計が
11:11だったり

冷たい雨に打たれて
帰った夜に
作り置きのレモン・ティ
電子レンジで温めたら
ティーカップの取っ手が
「どうぞ」と
言ってるみたいに
こっちを向いてる

オマケみたいな幸運を
味方につけても
今は笑っていたい

生きていれば
好い事ばかり
じゃないけど
悪いことばかり
でもないよね

「ごめん」って
直ぐに言えたら
幸せになれるのに
ごめんね

2009/11/11 (Wed)

[34] ちゃり
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


漕いでいないと転ぶ
支えてないと倒れる

行き先はひとつ
行き方はいくつもある

直線でも曲線でも
終点は見えていて
すべて徒労と思えば
風は単なる圧力に変わる

どうせなら
風を背中に受けて
鼻歌まじりに
ペダルを踏みつける

ちゃりん

なんか落ちたけど
止まらない
振り返らない

そんなわたしも
吹き抜ける刹那の点景

あはれ
ゆらゆら
枯葉の振り子
落ちそで落ちぬ
宙ぶらりん

2009/11/25 (Wed)

[35] みんな同じ
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


弱くなりたい
そうすれば
かなしみと
友だちになれるから

傷つけられたい
そうすれば
ひとの痛みが
わかるかも知れない

騙されたい
そうすれば
欺くことの苦しみを
分かち合えるだろう

2010/03/25 (Thu)

[36] 慈雨月光
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


わたしは
哀しみの人になろう
涙を溜めて
慈しみを降り注ぐ
あの雲のように

たくさんの人に
厭われても
人知れず命の育みに
力を貸せるように
哀しみをかき集めて
恵みある雫に変えよう

わたしは
微笑みの人になろう
闇に浮かんで
穏やかに照らし出す
あの月のように

命を燃やして
輝けなくても
密やかに寄り添って
見守れるように
悦びを拾い集めて
穏やかな光に変えよう



気がつけば
ただそこにいる
そんな存在に
なれたらいい

2010/04/15 (Thu)

[37] オストリッチ・シンドローム
詩人:赤坂 菜葉 [投票][編集]


過度の飲酒・喫煙も
病気の自覚がありながら
病院へ行かないのも
自傷行為の一種。
野垂れ死に上等と
腹さえ括れないくせに
追い詰められると
砂地に頭を突っ込んで
ひたすら
危機が過ぎ去るのを
待ってるだけの
ダチョウさながら。
現実逃避してる間にも
ジリジリ首は絞まってく。

2011/02/01 (Tue)
44件中 (21-30) [ 1 2 3 4 5
- 詩人の部屋 -