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そほとの部屋  〜 新着順表示 〜


[36] 「すき」
詩人:そほと [投票][編集]

あかちゃんの寝息
音の無い音の「す」
「す」
すきとおるの「す」
「す」「き」は
すきとおった
きもち
「すき」
すきまの
なにも無いところ
とつぜん現れるこの気持ち

だから
どうしようもない

だから
どうしようもない



2009/01/29 (Thu)

[35] まさにまさに
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無意味な瞼の独り言
騒々しい眼球の高笑い
気取った鼻毛のフェンシング
これほど虚しい眠りに就かなきゃならんとは
愚かな生き方をしている



2009/01/29 (Thu)

[34] ぜんそく
詩人:そほと [投票][編集]

おかあさんのためなら
がまんできます

がまん強いボクは
小児ぜんそくとたたかいます
でも
何度か負けそうになりました
おかあさんは
だまって背中を
さすってくれます
何も言えず背中を
さすってくれます
一度だけ
「たすけて」と言いました
一度だけ
「どうしようもないでしょ」
と言われました
どんなにおかあさんが
辛いのかわかりました
ボクは疲れ果て
息ができずに
気を失って眠るまで
がまんできます
おかあさんのためなら
がまんできます



2009/01/29 (Thu)

[33] 新聞配達の男
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極寒の冷気が
ショットガンの威力をもって
突き刺さる

噴出す血潮は
サラサラの結晶と化し
美しくさえ見える

裸の木々は凍え
もはや
何も感じてはいまい

日常の醜悪なペニスが活字と化し
ビッシリと刷り込まれた新聞
メリメリと突っ込まれるのを
待ち受けるポスト
赤く爛れた口を
夜に向かって開けている

新聞配達の男
お前の目的は何だ

何を企んでいる



2009/01/29 (Thu)

[32] そして私は
詩人:そほと [投票][編集]

優雅に咲く花
可憐に咲く花

はかなく散る花
静かに枯れる花

そして私は
花がすき

そして
つぼみのキリリ
が  すき



2009/01/29 (Thu)

[31] いたいよ
詩人:そほと [投票][編集]

まねき寄せ
抱きしめたなら ほんのりと
髪の匂いに思わず ぎゅっ
小さな声で
「いたいよ」

2009/01/29 (Thu)

[30] 風 問わず語り
詩人:そほと [投票][編集]

海をわたって
陸をころがって
山にあたって
二つになってからまって
この先 ずっと先に
ひっそり暮らせる盆地があるんだと
風車を回した風の
問わず語りのその表情から
何も読み取れない私でした



2009/01/29 (Thu)

[29] バニラエッセンス
詩人:そほと [投票][編集]

バニラエッセンスは
おかあさん

小さな頃の思い出の
おかあさん
お手製のアイスクリーム
おべんと箱の
アイスクリーム
ほんのちょっとだけ
いれましょね
バニラエッセンス

大人になって舐めて見た
さぞかし甘い
母の味
以外や苦い
母の味

それから
おかあさんの詩が
書けるようになったのかも
しれませんね



2009/01/29 (Thu)

[28] 脱皮
詩人:そほと [投票][編集]

泣き出しそうな雲
カラスが捨てゼリフを吐いて
何処かへ消える
嗚咽を漏らしながら糸を引いてゆく水滴
冷たく突き放すトタン屋根
肩をふるわせころがり落ちてゆく
死にぞこないのコオロギ
十字架を背負ったコオロギに
口を開けるマンホール
暗黒の中の底知れぬ海
波打つうわばみの腹の中
エサを求める働き蜂の群れ
ヴームという羽音が
重なり合い ぶつかり合い
空間の一部を占領する
一本の枯れ木が
芽を吹き 葉を付け 造花を咲かせ
禁断の木の実をぶら下げる
冬眠から覚めたヘビが
食べろと言う
俺には
断る理由がない
何処かで
コヨーテの遠吠えがこだまする
けばけばしいトゲで
着飾ったサボテン
ざわざわと ゆれる
息が詰まる
意識らしきものが薄れてゆく
また遠くでコヨーテの
いや ちがう
人の声 歓喜の声 狂気の声
そして背後彼方で
さよならの 声



2009/01/29 (Thu)

[27] あのね坊や
詩人:そほと [投票][編集]

あのね坊や
こおろぎはね
コロコロ コロコロって
鳴くんじゃないんだよ
こころ こころって
鳴くんだよ



2009/01/29 (Thu)
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