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鰐句 蘭丸の部屋  〜 投稿順表示 〜


[431] 悪い女 悪い男
詩人:鰐句 蘭丸 [投票][編集]

お前と別れてよかったよ

お前 俺の事バカにしてたもんな

俺も悪かったよ

他に好きな女居たからな

お互いさま

今でも憎しみが消えない理由は

愛し合った時間があったんだろな

今 お前がどう思ってるか

思ってないかも知るよしもないが

治らない傷のかさぶたみたいな



みたいなやつですか

やっぱりお前

優しくねーな



2020/10/13 (Tue)

[432] エピソード まる 其の1
詩人:鰐句 蘭丸 [投票][編集]

まる 俺が初めて飼い猫として迎え入れた猫の名前
9年前 仕事のお客様が保護した野良の仔猫だった
生後1ヶ月位の小さな茶トラ
片手の手のひらに乗るくらいの小ささだった
何匹かいる保護猫の中から物怖じもせず差し出した俺の人差し指に鼻で近づきくんくんした
俺の一目惚れだった
生後1ヶ月の小さな体長の割に尻尾が長いのが特徴的だった
9年少し経ってからも俺の「しっぽ」の呼びかけに尻尾をフリフリしてくれた
身体の茶トラは片側は普通の虎模様
片側は大雑把な魚の鱗の形をした模様
お腹はその鱗模様の細かい感じの縞模様
俺はこのお腹の模様も気に入っていた

まるのおデコ
お腹
身体を匂うと香ばしい匂いがして好きだった

初めて家に連れ帰った日結構ノミとダニにまみれてた
病院で虫下しをしてもらうと一時的に元気なくなったけどすぐ良くなった
でも 生まれたばかりで親にはぐれたかで母乳が足りなくずっと成長不足だった
歯茎と歯ももろく子供の頃はカリカリを食べられていたが成猫になると柔らかい食べ物ばかりになってしまった

中でも俺が釣ってきたキスの刺身を分けてあげると「ウマイウマイ」と鳴きながら食べてた
釣りに行くたびまる用に刺身を作るようにもなった

幼いうちは玩具にも敏感に反応して
まるが楽しむ以上に俺たちが楽しんでた

幼いうちからずっとだったけど
賢かったな
俺たちが家を留守にしている時は
家で待ってたね
用意されたご飯と水以外は口にしなかった
台所の三角コーナーはもちろん
俺たちが不用意に置きっ放しにしてた食料や菓子袋に手をつけたことなかった

持病もあってだか 大人しくなったお前とのコンタクトは
サイレントにゃー
目を合わせ
目を閉じて
にゃー(サイレント)

まるは お風呂(シャワー)嫌いだった
本当に気の向いた時にしか洗ってあげなかったけど
相当 水 お湯 嫌いだったからね
洗ってあげようと追い回す俺から逃げ回ってたね
でも そんな時間も俺は大好きだった
元気な時は脱走もした
何時間も帰って来なくて本当に心配した
地元情報誌の写真募集に応募して雑誌にも載ったね

2020/10/23 (Fri)

[433] エピソード まる 其の2
詩人:鰐句 蘭丸 [投票][編集]

今年の春になって妹猫が急遽出来たけど
優しく迎えてくれたね
やんちゃな妹猫こはるのダイナマイトアタックにも弱った身体でお兄さんの意地で仕返しした姿
頼もしかった
妹猫こはるもすごく懐いて
台風の夜には犬のニコ まる こはる みんな揃って避難場所の玄関でアニマルミーティングしてた

この数ヶ月は頑張ってたね
猫エイズと白血病と歯周病でご飯食べられなくて
ただでさえも痩せっぽちなのに
今日の3日前には家を出ようと玄関に居座り
気持ちをくもうと玄関開けて後を追えば道路でうずくまり
「バカか!独りで居なくなろうとするな!」
連れ戻しても また 同じことを繰り返し
「勝手に独りで行くな!独りで行こうとするな!」
そのまま まるを抱き上げて散歩した
それが まる との最後の夜の散歩になった
俺はまると話した「また魚釣ってくるから お前が食べたことない魚まだまだ釣ってくるから 食べてくれよ 一緒に食べよう」
まるを抱きしめて 涙が出た

まる お前を家に連れて来た時から
お前の最後をみとることは決めていた
だから お前がどんなに拒んでも
独りで行かせるわけにはいかない
人間の勝手な都合で申し訳ない
でもこれは動物の流儀ではなく
人間の流儀
どうか
看取らせてください

今朝 妹猫のこはるが夜中からずっと騒がしかった
普段夜中に二度三度おやつにオレを起こすこはるが朝の時間になって俺を起こした
いつも起きる時間
こはるにご飯をあげて
まるを見に行く
目を開けて呼吸をしないまるが横たわっている
まだ身体は温かい
でも 呼びかけにも接触にも反応しない
「頑張ったね」
「おつかれさま」
もう充分だった
食べられない 飲めない
辛かったろう 苦しかったろう
くたっとなったやせ細ったまるを抱いた

今までのまるとのシーンが駆け巡る
今日まで
今日まではまるとの思い出を噛み締める
泣くけど
いい
ありがとうまる
俺たちのもとに来てくれてありがとう
お前の存在が幸せだった
癒しだった

2020/10/23 (Fri)

[434] エピソード まる 其の3
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仕事から帰ってきて
冷たく 硬くなったお前を撫でる

お前の匂いを嗅ぐ
あの香ばしい匂いが薄らいでる

風呂へはいる
お前を洗ってあげたことを思い出す
涙がとまらない
きっと
また お前の匂い思い出すよ
忘れない

まる

おやすみ がんばったね

2020/10/23 (Fri)

[435] いいひと
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いいひとは報われない

よく聞く「あの人はいいひとだよね」
を言う人はいいひとを救わない

メディアから聞こえる「いいひと」は早死にする

どうか

この世から いいひと を排除してください

どうか いいひとにならないで生きて








全人類 悪者になり 潰し合いましょう

悪の中の悪だけが蔓延る世界にしましょう

そういう政権に投票しよう

いいひとは

生きていけないんだから



2020/10/29 (Thu)

[436] 
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今朝 通りに咲く椿の花の落ちるのを見た

花房が地に落ちる音は聞こえない距離

しかし

聞こえた

重いようで

軽いような

残酷なようで

荘厳な

同時に

時が流れ込んでくる

意識の中に

記憶や妄想の中で一瞬のうちに

椿が芽吹き

葉を茂らせ

蕾をつけ

咲かせ

散った

タイムラプスのような

サイレントのような

音がずっと鳴っていた

2021/01/26 (Tue)

[437] 否定する心の中の中で
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流行歌が耳を通り過ぎる

揺さぶられない時間が流れる

いつからこうなったのか

心の中に真っ黒い自分が生まれてから

友達は居なくなった

しかし恋とか愛には飢えていた

手に入れると壊した

何故か孤独を愛した

そして時々真っ黒い自分との会話

そいつは俺を肯定してくれる

そいつは俺だ

分かっているから笑えた

著名な作家の心を打つ言葉も俺を避けて行く

政治家を責める言葉が思い浮かぶけど

すぐ消える

激しく熱い思いに突き動かされたい

そんな伝説のような主人公は現れない

いつかは自分が

なんていう夢ももてないくらい経済は貧困だ

結局は思想も貧困だ

羨ましがらないぞ

比べられてたまるか

そんな時間も蓄えられない

真っ黒い自分と入れ替わりたい

そうなった時

なにか

終わるだろうか

2021/03/02 (Tue)

[438] ロードマップ
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古いロードマップを見つけた

部屋の本棚の隅に押し込まれて忘れ去られていた

どれくらいぶりに開くだろう

多分だけど20年くらい前が最後

その頃くらいに色々あった 離婚 恋愛 離婚 恋愛

シングルファーザーになった頃から見なくなったんだろな

見る暇もなかった

仕事に子育て 地域の組合や保育園や家事

当時は男親の自治体の手当ては無くて男女参画社会をうたう行政を恨んだ
恨んでも恨みきれないくらい恨んだふざけんな
なんだよ手のひら返したようなこの現在

返せ あの頃の不満全部返せヴォケ

道が外れた

ロードマップ 当時 行った場所に星マーク

行きたい場所にハートマーク

行って無い場所にハートマークあるね

行きたかったけど行けなかったんだね

別れた彼女は行ったかな

知る術も宛も無い

生きてるかも

子供宛におもちゃのキーボードが送られて来たけど

憎しみが強くて受け取らず送り返した

後悔させたかった

ロードマップ

また行こうね の場所は

二度と行ってない

ロードマップ

今は使わないロードマップ

NAVIの時代

ロードマップ

ロードマップ

新しく行きたい場所書いてみる

ロードマップ

今どきロードマップ

道端に車寄せて

家族で顔突合せて覗き込む

ロードマップ

そこに

道が続いてる

昔も

今も

外れながら

迷いながら

ロードマップを頼りに

もう一回走り出す

2021/05/24 (Mon)

[439] 夏と台風と夕暮れの堤防の橋の下の感傷ist
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君を探してまたここに来た

ここにいるはずは無いのは間違いない

気がつけばここに来る

温暖低気圧が揃いも揃って台風三兄弟

週末の釣りの予定潰す気満々だな

君がいなくなったのはもう20年前になるね

噂では命を絶ったと聞く

本当は分からない

でも現実にもインターネットにも君の存在は無い

時々本気で君に助けを求める俺がいる

君が置いていった息子

これまで何度も行き場を無くして迷い続けた

その度に「君が居てくれたら」

でも全部俺ひとりで片付けた

でもやっぱり「君が居てくれたら」「君の息子も大人になったよ」

なんのわだかまりもなく見せてあげたい

君を探してここに来る

絶対いるはずは無いんだけどね

夕暮れの川の堤防の橋の下

軽トラの助手席にいつも積んでるPIGNOSEのギター

夕暮れに向かってクォーターチョーキングとピッキングハーモニクス


2021/08/06 (Fri)

[440] 常夜灯のかぐや姫
詩人:鰐句 蘭丸 [投票][編集]

物心がついたころは市営住宅の5階建て鉄筋コンクリート造の4階で家族で住んでいた
冷たいコンクリート壁にうっすらのペンキで
玄関のドアは重たい鉄板製
天井は粗い突起のある左官仕上げで
和風ペンダントの照明がぶら下がっていた
季節は覚えてないが

家族が寝静まった頃
ひとり目が覚めた俺はペンダントの常夜灯を見ていた

すると
毎回 いつものように物語が始まる

常夜灯の月から かぐや姫が降りてくる

降りてくる最中にもなにやらかぐや姫の付き人や取り巻きが騒ぎを起こしている

無事 降りてくると俺と他愛のないやりとりをして

突然 かぐや姫の爺様と婆様がけたたましく乗り込んできて
やれ月へ帰すの 帰さないのの騒ぎが始まる

俺は蚊帳の外にされ
いつものように
かぐや姫は常夜灯の月へ帰って行く

帰って行く最中にも かぐや姫の周りはなんだか大騒ぎ

やがて俺は眠りに落ちていく

本当にあった事だったのか
夢だったのか

半世紀を超えた今も思い出す

常夜灯のかぐや姫

2022/09/30 (Fri)
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