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トケルネコの部屋  〜 投稿順表示 〜


[71] もりもり。
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盛夫は森に還った
盛夫は森の懐に抱かれ眠った

盛夫はいつしか森そのものになった


ボク「いやー、やっぱ緑は気持ちいいね」
彼女「でしょ。ここは盛神の森って呼ばれてるの」
盛夫『ミーンミーンミーンミーン』

ボク「やあ、これまた蝉が元気だ」
彼女「でしょ。ここは盛蝉の森って呼ばれてるの」
盛夫『サワサワサワサワ・・・』

ボク「ふぅー、風が心地良いなぁ」
彼女「でしょ。ここは盛風の森って呼ばれてるの」
盛夫『ツーツーツーツー』

ボク「おや、これはえらく不通話な音だね」
彼女「でしょ。ここは盛圏外の森って呼ばれてるの」
盛夫『ラーラ、ララーラ、ララーラ、』

ボク「やっぱり、この季節はマキが多いな」
彼女「でしょ。ここは盛大黒の森って呼ばれてるの」
盛夫『へ、へ、、』

ボク「へ、、へっくしょん!!!」
彼女「でしょ。」

2010/08/15 (Sun)

[72] A子の秋茄子日記@
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あの人がネコの手も借りたいと言うから

貸したった

あの人はひどく哀しそうな目で私を見た



豚もおだてりゃ木に登ると聞いて

おだててみた

あの人は真っ赤な顔してお相撲さんに謝っていた



シルクドソレイユの公演を見に行った

猿も木から落ちるというけれど

猿顔の小学生が隣で欣喜雀躍してたから

帰りに試す事にした



初めてあの人の両親に会った日のことを

何度思い出そうとしても思い出せないと

みなが言うの

笑いながら二階から目薬投げた


2009/11/27 (Fri)

[73] 改札口
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浮ワをもって 泳ぎにいこうと思ったが 冬
なら映画でもみるかと 久しぶり外に流れたんです

一日の電車は 意外にすいていて
失われた月日を 眺めたんです

改札をぬけると そこはもう街で
クリスマスの名残が輝いてたんです

まばらな人波に混じって 老婆の乞食を見かけたんです
閉じた商店街をさまよって ニット帽を目深に被ったんです

肝心の新作はどこの映画館にも見当たらなくて
コンビニでパンを買って ゲーセンで疲れた足を休めたんです

夜が中盤になった頃 改札をぬけて帰りの電車に乗ったんです
隣席では酔った中年達が 仕事の愚痴を声高に語っていたんです

あんな大人にはなりたくねぇなと思ったけれど 僕も気づけばいい歳なんです
窓外に流れる光の粒子に 失った日々を想ったんです

結局なにしに行ったんだと
深夜の駅でちょこっと笑ったんです

これから何処へ行けばいいんだと
改札口でしばし立ち尽くしたんです


無性に家に帰りたくなって

ポッケに手を突っ込んで空を見上げたら

やけに澄んだ冬の星々が 夜の向こうに煌めいていたんです



2009/11/27 (Fri)

[74] リンドウの丘
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海から海へ
島から島へ
流れ去るものは 声


時から時へ
過去から君へ
辿り着く声は 愛


見失わないで もう 恐れなくていい

君は君の歌を知っている

流れ去るままに見送った 昔の弱さもそのままに

君は君の声で歌えばいい


波から波へ
風から風へ
運ばれるものは 影


哀しみに浮かぶ船に何を乗せても

君がいなければ沈むだけ

ここから見えるリンドウの丘の 花咲く教会で鐘が鳴る


君から星へ
星から僕へ
伝わる愛は 光


ただヒトトキの安らぎの中で

君は君の 僕は僕の 夢で出逢おう

微睡みの珊瑚にリンドウが一輪咲いたら 産まれる


海から海へ
島から島へ
流れつくものは 歌



「 哀しんでいる君が愛おしい・・・ 」   






2010/08/15 (Sun)

[75] 裸足の男
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俺のブーツの先っぽは上を向いている

俺はそれを下向いて眺めてる

見るたびにモヤモヤする

触るたびにイライラする

どうしようもない違和感

これは違う、という感覚

こいつじゃなかった

この色じゃなかった

俺が欲しかったのは


別の色違いだった!


ニ択だ

三択だ

人生は選択だ

いつだってそうさ

靴買う時も

詩を書く時も

告白するか、しないかも

いつだってこれだ

そしていつだって

綺麗に、完璧に


間違うんだ・・・


安かったから

間違ってもいいかなって

もう悩むの面倒臭いなって

気軽に買えば案の定

毎日見るたび嫌悪感

靴というより、また失敗した自分自身に、嫌悪感

安かったから

買い直してもいいけど

結局合わせりゃ高くつく

二万だ

三万だ

来月は節約だ

まァたやり直すのかって

諭吉がヒラヒラ笑う

大したことでもないのに

大したことのように振る舞うから

事実大したことの前では身動きが取れず


靴が 履けない


二択だ

千択だ

人生は電卓だ

賢く電卓打って選択した結果がここにある



俺のブーツの先っぽは上を向いている

俺はそれを下向いて眺めてる


ずっとずっと


裸足のままで

2009/12/04 (Fri)

[76] ブルーコーション
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暗黒は舌の先 あなたの瞳にありました

月が還りたいと泣く理由は 誰かが誰かに伝言ゲーム

見失いました



淋しい夢は流れ星に
淋しい涙は流れる雲に
淋しい声は流れる人波に

掻き消され、 また 

捜しています



音もなく
コーヒーの匂いと

感触もなく
腿の猫の温もりと

記憶もなく
切り取った新聞記事に

色もない
ゆるやかな陽の影が射し込んで

あたし

言ったでしょ?



このままじゃたちきれないって


このままじゃ・・・



それなのにあなた



それをあなたは、



淋しい言い訳と




2009/11/29 (Sun)

[77] レギンスな彼女
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火炙り 置き去り アナタとワタシ

こんがり も少し 淫らに通せんぼ

すんなり 冗舌 とぐろを巻いて

ワタシと夜の ガラスの靴


12時すぎに目が回る

美人は生まれて目が死んで

美人は笑って 目が目が塞がれる



亜細亜のブランコ 跨がして

北欧の砂場 渇かして

台風のメッ 泳がせば

引っ繰り返ったスットコドッコイ宙返り!

逆さになった花瓶に滴るまさかの… 風流



キタナイ言葉 ヒタシテ 沈めて

ピョンピョン ほふる アナタの切歯

口づけ 縫い付け クチビル爛々

冴えない胸毛に テディベア一つ


アナタとワタシ目が回る

罪人は吊られて目が濡れて

罪人は埋められ 目が目が翔び駆ける

2009/12/05 (Sat)

[78] ジ・ジョー
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タイクツ喰いたい靴
まったり止まったり緩るまったり挟まったり
アゴからエゴが滴り落ちるゴゴに元気ですか?

ムーンウォークで独りきり
ムーンウォークで中学侵入


ボロぞーきんソボロ送金
脱臼な犬とネンゴロに
卓球する猫はニャンゴロリン
右からビリージーンはすかしてバーへ
左からムーンウォークで更衣室侵入
寿司まみれんこん筋まみれ


だからどうしたい?

おれは絞死体

なにをどうしたい?

あれを焼死体

つまりどうしたい?

溺轢圧死体……

いみわからん

できればあーしたい

…で、最終的になにがしたい!?


やっぱ感電死体!!!


ムーンウォークで中学脱出
ムーンウォークで職務質問

事情を訊く国家の犬とネンゴロに
アゴからゴリラがニャンゴロリン
肺の中のセッパツマッタ加護ちゃん曰く
色々落ち込んだりもしたけれど……


わたしは正気です。


2009/12/15 (Tue)

[79] 皓城夜話
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透みゆく空には 向日葵を投げて
崩れゆく陽には 紫陽花を植えて
おとなしい猫と 人肌のミルクを分け合って
砂場のお城に 影を造ろう

長いながい尖塔の影を

瞼から零れた青は
グラスの縁の赤と混ざり
カクテルを淡い紫に染める

組んだ足から広がる夜に
羽を伸ばす純白の蝶

それは一つの物語
影のお城に囚われた

独りの少女の物語


錆つく浜辺には 銀の櫂で漕ぎだして
暗幕の波間に 金の貝殻を探して
おとなしい猫と 優しい枕に包まって
積木のお城に 影を掛けよう

高いたかい梯子の影を

空の滲んだ青は
日々の翠雨と溶けあって
遥かに碧い海へと繋がる

閉じた繭に広がる夜に
羽を休める純白の夢

それは一つの物語
星の狭間で見つめあう

二つの月の物語


2010/05/27 (Thu)

[80] レムの翼
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少年は夜に敵意を供えて
校舎の屋上で泣く


真夏の空は不可解な音色の海
地熱の放つ声に樹々が燃え上がる


透き通るようなラジオの70'sの歌
それは青い林檎を齧る音に似て、苦い


フクロウは深夜のコンビニを覗き回り
まだ幼かった頃の自分を探す


天使はいつも乾いた傘を広げては
繁華街の泥を眺めてる


傷口から見える碧い珊瑚礁
見たこともない深海の蛇


少年は薄明に悪意を葬り
校舎の屋上から墜ちる


少女は朝に声を詰まらせて
そんないくつもの夢から覚める



ユレル波間からのぞく褪せた爪先へ
そっと手を添えるように暁の緋が飾る



少女は厚いカーテンに包まって

そんな夢から覚めた夢を見た



2009/12/02 (Wed)
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