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剛田奇作の部屋  〜 投稿順表示 〜


[130] 
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

ちっちゃくて


汚れていて


花びらが虫に喰われていて


枯れかけていて


名前もわからない花でしたが



自信をもって
咲いていました






2008/12/27 (Sat)

[131] 勇気
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弱いから持てるブランド




2009/03/17 (Tue)

[132] 愛の際限
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愛してるよ

愛してる

お前を、愛してる


もっとロマンチックにったって、無理だよ… 俺は役者じゃないんだから


愛があってもなんでもできるわけじゃないし
お前が望むことはなんでもしてるだろ?


服だって鞄だって
美味しいものだって
全部お前のためだよ

他に何が足りないんだ?

え?

俺が浮気してるんじゃないかって?

俺の携帯、毎日チェックしてるじゃないか…
どうして信じてくれないんだ?

エミの彼氏は束縛してくれるのに…って

なんで俺とそいつが比較されなきゃならないんだよ

それに束縛を強制って なんか変だろ?


毎日電話してもまだダメなのか?

じゃあ 仕事に行かずにお前の隣にずっといろっていうのか?


そうじゃない、って…


一体どうしてほしいんだよ お前は…






2008/12/27 (Sat)

[134] エビフライのしっぽ
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人と優しさを分かち合うことを
専門用語で


『エビフライのしっぽ』

と言います



だから宿題を忘れてしまった時は

エビフライのしっぽ

食事中に間違ってオナラをしてしまった場合も

エビフライのしっぽ

です

猫のサスケと恋に落ちた場合もエビフライのしっぽ


アンティークのコーヒーカップにドライバーを入れて子供が遊んでいてもエビフライのしっぽ


講義がフルコマ入っているのにバンドの練習をするのもエビフライのしっぽ


車のなかで1000ピースのハズルを開封してしまうのもギリでエビフライのしっぽでしょう




2008/12/28 (Sun)

[136] 射殺
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見覚えのある鍵が転がっていた


私はそれを拾いあげ、見覚えのある鍵穴にそれを差し込んだ


見覚えのあるドアは静かに開いた


部屋一面に転がっていたのは私の死体だった


壁をよくみるとマジックミラーになっていたので近付いてみると


無数の私の死体と、私を見ながら笑っている、
無数の私がいた


私は、無数の笑っている私を持っていたマシンガンで、ミラーごしに全員射殺した


私は笑っていた私の死体を乗り越えてさらに奥に進む


突き当たりはまたマジックミラー


笑う無数の私、


射殺。


無数の私、


射殺。


笑、


射殺。




2008/12/28 (Sun)

[137] 黒い口
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あれは確か小学校、低学年の私


大嫌いな 計算ドリルをテレビの裏側に放り投げたことが、はじまりだった


テレビは部屋の四つ角を塞ぐような形でおいてあったから


落としたら二度と子供の私には取れなかった


計算ドリルは提出日まで落ちたまま、答の欄は空白のまま…


いつばれるかと怯えていたが、なぜか先生には怒られなかった


けれど私が怖かったのは、先生でもなく
提出日でもなく
計算ドリルでもなく


大きなテレビ、
埃がかったブラウン管の裏、

三角形の黒い穴


そのものが、怖かった


ブラウン管の黒い口は
いろんなものを飲み込んだ


給食でどうしても食べ切れなかったまずいパン


ユキちゃんちから黙って持ってきたピアスのシール


どうしても完成できなかったマスコットの宇宙人


テレビはもうとっくに壊れてしまって、新しいものになったけれど


行き場を失った彼らが、

いまだに私を
あのブラウン管裏の暗闇で待っている


今なお、私の胸の中に、ぽっかりと大きな黒い口を開けて


ものが投げ込まれるのを
待っている






2008/12/31 (Wed)

[139] 探すべき人
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話はそれを本当に聞きたい人のところで


悩みは、それを本当に、聞ける人のところで



2008/12/30 (Tue)

[140] 泥ップ
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凍る風の吐息を学んだ冬が


夏の焼けるアスファルトに、少しでも永くキスをしたがる



大地に、張り付く痛ましいアスファルトは


それでも僕の故郷らしいから



疲れて横たわる、真っ暗な明日は


愛が滴る 感度のいいベランダに、昨日を招く



灰色のサラリーマンが

巧妙に造られた愉快さで

指で弾く虹


虹に掴まっていたギリギリの通学路は


あの時と同じ固さで両足に、のしかかるけど


僕にはもう、残り物が多すぎて、新品は要らないんだ


沈み込むような音楽が流れて


たぶん色で言うなら

深緑にとかした白と
滲む朱中の黒光り


携帯からは、スタートボタンのかけらが突き出て


遅い迎えに、クレームをつけてた


僕は
きっと、微笑む






2009/01/01 (Thu)

[142] なっちゃん
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なっちゃんは 素敵

眼が素敵

キリリと斜めに 尖っていて

瞳は、博識の森の池

瞼はユーモアの涼やかな山

唇は、ぽってり無人島

なっちゃんは素敵

なっちゃんが好き

なっちゃんは

ポッチャリしてて

手が温かい

髪には格好よいクセがある

とても個性的なんだ

いろいろ教えてくれるんだ
なっちゃんはいつも手紙をくれる

大きな字で サッサと シンプルな文章

なっちゃんは

とても格好よい

僕はいつも

郵便受けを覗く

なっちゃんの

格好よい手紙を

待ってる




2009/01/03 (Sat)

[143] 追い風
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僕らは、歩いていく

時に、立ち止まりながら 休みながら

限りある時間の中で

真っすぐに延びた

決められた道を


距離は長い


体力だって無限にある訳じゃない


いつまでも

重い荷物は持っていられない


怒り
憎しみ
悲しみ
淋しさ
恐怖


どんなに強靭な精神をもつ人も

どんなに頭のいい人も

どんなに柔軟な人も


いつまでもその重さに
耐え続けることなんて


できやしない


君の荷物は、もう手垢だらけだね


もう、握りしめなくていい


そっと


君の足元に置いていいんだ


見上げる荷物に
笑顔で、ごきげんよう
と言って


また道を進むんだ


少し軽くなった足で


一歩、二歩、ゆっくり三歩


そうして…
ふと振り返ってごらん


荷物はもう小さくなって

見えなくなって
何がなんだか解りゃしない


あんなに握りしめてたのに


思い出す事もできないのさ


これでいい


いずれ振り返ることも忘れる


もう取りに返る必要はないのさ


彼らは、僕たちの
追い風になって


背中を押している
だろうから





2009/01/07 (Wed)
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