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フィリップの部屋  〜 新着順表示 〜


[243] フィート
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深海に揺れる
光の中に
ダイブして
太古の恵みを
少しでも、と
漂ってみた


屈折する視界
その角度で
僕の感覚が
音を立てていく


満員電車の轟音と
微かな空白に
シンクロする
音の無い
セレナーデ

同調する僕の指は
風が吹くように
海が凪ぐように
数万フィートの高度で
星を数えている


冷えた爪先は
ただ
明日だけを見ていた

2007/10/24 (Wed)

[242] ホムンクルス
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生まれたての
白い生命の中に
君と僕と
数種類のハーブ


感じる事など
無いのだけれど
世界は知っている

その、小さな輝き
尊き光を
何一つ、見逃すことなく


朝がくる前に
君の温もりを
冷まさないように
フラスコの中に
ありったけの愛を
保存しよう

刻まれ続ける秒針の中
発酵していく
その温度は
多分
かみさまと同じ

2007/10/22 (Mon)

[241] 呼吸
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息を吸い込んで
小休憩
手をつないで
深呼吸の用意

生きているって
実感するのは
オーソドックスな
この瞬間で
その温もりは
買いたての缶コーヒーと
多分、同じだ


風のざわめき
不確かな未来
踊場のトーテムポールは
物言わず佇んでいる


生きる事自体が
苦しいとされる
この世界がうらぶれる
コンマ一秒
その苦味の中に
一瞬の甘味がある

生まれたての命の炎が灯す
喜びと、悲しみ

僕が生きてる
この世界の
そういうところだけは
神さまは几帳面にしてあるらしい


いつも
気付かないけれど
世界中の呼吸の中で
生かされているのだ
僕は
僕らは

2007/10/15 (Mon)

[240] トースト
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チン、という音と一緒に
僕の朝は始まる


湯気の立ち具合や
カーテンが光を取り巻く
その瞬間に生まれてきた言葉は
いつも、十色


ジャムの甘味が
一リットル半の世界に広がる時
僕は
僕で無くなる
また別の何かへ



「おはよう」
という声は
いつもより少しズレてて
何か、おかしい

2007/10/11 (Thu)

[235] 青春パスタ三号
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しなるパスタの
艶やかな輝きが
僕の四角い部屋に
丸っこい彩りを添えている


明日の天気予報を
寝ころんだまま
体の中に取り入れながら
雨になるように
祈ってみると
なんだか
君に逢えるようで


ミートソース
ミートボール

アラビアータ
アラビア石油

アルパチーノ
アルデバラン

幾つかの言葉の中に何かを見出そうと
あらゆるパスタを
並べてみるのは

あの日の君が
此処にいるから

2007/10/09 (Tue)

[233] 一人ごっこ
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スペースが空いて
いる物も
いらない物も
なくしてしまった

ベランダにせり出すゴムの木にかかる
虹色の雨
その輝きの中に
新しい何かがある

開かない鍵が守ってくれる
たった一つの秩序が音楽とハモる
その瞬間から
旋律が消えていく

目には見えない
あらゆる営みを
プラスチックコップに入ったワインが
非難する

僕の温度が
世界にシンクロした瞬間
僕が世界から去っていく
悠長な朝

2007/10/06 (Sat)

[231] 恋のまにまに
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知らない国の
博物館に座って
遠い君の夢を見た

懐色のセロハンが醸し出す思い出は
扇風機の風に飛ばされて
眠りこけている


十七世紀の内側に
しゃがみこんで
まだ見ぬ明日を探しに行こう


恋のまにまに
愛を呟いたら
薄くなったシルエットが
何故だか、美しい

2007/10/09 (Tue)

[230] 睫毛の風
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駅前のカフェで待ち合わせていた君は
シナモロールを持て余しながら
睫毛を弄っていた

風の吹く
空のまにまに
飛ばされていくように
珈琲をすする


風花ちらり
鳶がクルリ

吹き抜ける風が
窓の向こうから
君の睫毛を揺らす

るりら
るるりら




ふれた珈琲の温度で
上口部を火傷した

2007/09/30 (Sun)

[229] 律(しらべ)
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夢の中で
猛烈に君に逢いたくて
目が覚めたら
猛烈に君に逢いたかった

コクコクと
何でもない筈の時計の秒針が
音を立てて
世界を右から左へ
ずらせていく
一定の速度でもって


無気力な想いを
からっぽのビンに詰めて
僕は駅に向かった

口癖すら
思い出せないけど
何でもない君の存在に
生かされているのだ
僕は
僕らは



音無きメロディ
声無き叫び
君無き、律

歌詞の無い歌を
この声に乗せて
月の向こうまで
飛ばせたなら
僕らは明日を過ぎても
繋がってゆける

2007/10/06 (Sat)

[228] FRY
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うすくれないの空を
渡り鳥が滑ってく

見慣れた筈の
朱いシルエットが
僕の感覚を
その何十倍にも
研ぎ澄ましてくれる

チェリオグレープ
チャーリー・ブラウン
オンシジウム

光の速さで上昇する虚心の中に
僕はピーナッツを投げ入れる


「I Can fry」って
こないだ姪っ子が
叫んでいた

2007/09/29 (Sat)
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