私はあなたが大好きで
好きな思いは無敵なの

だから、あなたを好きな私は無敵なんだ

どんなにツラいことだって絶対に耐えられる

だって
私達は
無敵なんだから!!

お願い
大丈夫だよって言って
私は自分自身が嫌いで仕方ないの
嫌いで、嫌いで……

このままじゃダメって
頑張らなきゃいけないって
わかってるよ？

でも、私は私が嫌いで仕方ないの
誰かが大丈夫だよって言ってくれないと
誰かが好きだよって言ってくれないと
私は…私を好きになれないの

お願い
大丈夫だよって言って
お願い
好きだよって言って

ちゃんと知ってた
不変なんてどこにも無いと

それでも
私が不変を願ったのは
私が不変を望んだのは

大切なものがあったから……

失いたくなかったの

きっとあなたにはわからないわ

不変を否定し、私を否定したあなたには


でも…私はただ、変わりたくなかっただけなのかもしれない



いつしか、時間は私だけを置き去りにし
新たな時を刻んでいた

不変を望んだ私の時計は、もう動かなかった

どこからか風鈴の音が聞こえた

閉じた目をゆっくりと開き、歩き出した

風鈴の音と共に高校生活最後の夏が始まろうとしていたーーー

目の前に広がるのは
真っ白な銀世界

灰色の空から舞い落ちるのは
小さな雪の結晶

足を踏み出すごとに聞こえる雪を踏みしめる音

後ろに続くのは
私の歩いた道筋を教える足跡

不思議と寒くない真冬の光景

ゆっくりと目を閉じると雪の降る音が聴こえる

閉じた時と同じようにゆっくりと目を開くと

そこにあるのは雪などまったくないコンクリートの道

同じなのは雪ではなく、雨の降り出しそうな灰色の空だけ

つかの間の銀世界は
夏のくれたくれた贈り物
それはこれから訪れる暑い日々へのお詫びのような涼やかな白昼夢

失うのが怖かった

一人が怖かった

壊すのが怖かった

変化が怖かった


だから

失いたくなかったから
一人になりたくなかったから
壊したくなかったから

ただ不変を願い続けた
いつまでも変わらない不変を望み続けた
変わる事がなによりも怖くて


私はただひたすらに
不変だけを願い、望み続けた

世界の終焉なんて願わない

そんな願いにもならない願いはしない

ずっと
そう思ってた……


私は願ってはいけない事を望み

私は望んではいけない事を願い



世界は私を残して崩れ去った……

夢の中で聞こえる優しい歌声

真っ白な空間の中で私は歌声に包まれる

それは誰の歌声か
私にはわからない

しかし私はその歌声に安堵する

今日も母の腕のように
私を柔らかに包みこむ

どこからか、歌声が聞こえた
美しく澄んだ、しかしどこか淋しげな歌声

歌の内容は単調な恋の歌
でも他のどんな歌よりも心に響いた

その歌はどこから聞こえるのだろう
その歌は誰が歌っているのだろう

見渡す限り何もない草原の中で
私はただ、歌声に耳を傾けていた

恋の終わりは
呆気なくて

なのに
なんだか
スッキリしてる

あなたの事が
まだ好きだけど
前とは違う
好きの形

まだあなたとの
繋がりは
切れていないから

だからもう少し
あなたを見つめさせて

終わりと始まり
形づくられる
その日まで