[1174] IT 再考察 |
情報で未来が予言出来るものか否か?
断片的な情報で、世の中が作りあげられている嫌いがあります。
じっくり、腰を据えた活動が行われるべきだ。
すこぶる健康だった彼にとって、21世紀ってのは、化け物みたいに厄介なシロモノってことになっちゃうんだろうね。
もしこのIT社会にあなたが生きてたら。
「フーン。コンピューターでネットってのは、それぞれの人が好きなとき、好きなだけ、欲しい情報を取り出せるのか」
男は辞書みたいに分厚い新聞を、ドサリとハンモックの横に投げ出しながら、陽光に照らされた頬っぺたをヒネった。
そして、ツルツルーッと消防士なみの手摺りを滑り降りる。あっと言う間に、ビル三十階ぶんの高さを滑り降り、地下室までモグリこんじゃった。
「ヤア!これがパソコンなのか」
21世紀では、他人のモノが自分のモノなのだ。
どこぞやの地下に据えてあったパソコンを、早速、オモチャ同然に当たり回す。
「なんだ。こりゃ。ちぃとばかし、小さ過ぎるゼ。
おーい、ゴッド、もちょっとコイツを、大きくしてやって おくんなせぇ」
見る間に、天の空から雷のような光が来て、パソコンを包む。
チカチカッ。
ゴンゴンとデカくなったパソコン。サッカーのゴールなみ。
要するに、モニターは映画のスクリーン、キーボードは公園の階段、マウスはスポーツカーなみにまでなった。
「よっしゃ。これじゃなけりゃ、やってらんねぇ」
「まずは、これまでのデータをもとに、百年後の人間の心の感動度を、」
針は、残念ながら、0に向かう・・・。
「ってことは、俺が残した情熱も落ち目か。 しゃらくせぇ、ヤイ。
そいじゃあ、お次は、未来の人々の暖かさ度は?」
オレンジが消えうせ、悪魔の絵が映し出された。
「・・・死んでてヨカッタよ」
最後に彼は、完全に平和な世の中が来るかどうかの質問をした。
パソコンは、答える代わりに、ロボットのように動きだし、海の沖へとイザナった。
「こうして、夕陽でも拝める行為自体に人が生きる意味があるってんだよな」
パソコン・ロボットは波に濡れ、己を犠牲にしてまで、このシビレる男と心底 語り合えた喜びを表現し尽くした