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感想掲示板  〜 記事No.80に返信します 〜

[80] 蹄の音
投稿者:尻尾まであんこが詰まってるたい焼き

倉科さんという方の体験。 彼は昔、山仲間と一緒に 登山をした。 場所は九州の北部にある山だ。 急な雨に降られ登山道を離れ 獣道に入ってしまった。 登山道に戻ろうと一歩足を踏み出すと、少し遠くから パカッパカッという蹄の音が聞こえた。 獣でもいるのかと音のする方に目を凝らすとそこには夕闇にとけるように小さな男の子の顔が見えた。 闇の中で白く浮かび上がるその姿はまるで空中に浮かんでいるようにも見える。 体はというと、見えない。 そしてだんだん闇に目が慣れてきたとき男の子の下半身が見えた。 下半身は人間のものとは違い まるで馬か山羊のような蹄のついた毛に覆われたものだった。 恐怖が体を硬直させる。 だまっていると、 そいつは口を開いた。 「珍しや、人間か。人里におりてきたが、とてもまぶしくてかなわん住処に帰るとするか」 それだけを言うと、 ものすごい速さで茂みの奥へと消えた。 山には何度も上ったが、そんなものを見たのはそのただ一度だけである。

2019/02/12 21:27
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