詩人:凪都 | [投票][編集] |
涙腺は強い方じゃない
すぐ眼球に水が溜まって
零れて落ちて弾けて消えて
嘘泣きがお上手ね
なんてシニカルにさ
もぅ貴方に言われたくないの
鳴く時と泣く時と無くす時は
誰も知らない日とシトシト人と一晩中
思い込みで死ねても
思い込みでは殺せない
ねぇ?
その甘酸っぱさにはにかんで
暁に生き帰りましょう
詩人:凪都 | [投票][編集] |
この赤いポストみたいに
なんでも食べられたらいい
口の大きさに見合う愛と哀で
膨らまない腹をいっぱいにして
鍵一つで
すべて掻き出される空しさに
一緒にいけたら
いけたらいけたら
んでも
行けない逝けない
どこにもいけない
まず生きていない
誰かの思いが通る道
紙一枚
封筒一枚
時々速達で
時々荷物で
腹って
入って溜まって出す
そういえば腹って
そんな役割だった
あぁ
あのポストになりたい
許容範囲でなら
みんな受け止めてあげる
排便時はみんな一緒の
あの赤いポストがいい
詩人:凪都 | [投票][編集] |
透明な容器は
ミキサーという
名前を持っていて
寝ぼけまなこで
だから意味も無く
冷蔵庫にあったバナナと人参
砂糖と牛乳とキャベツと?
適度に残り物を与えてスイッチオン
ヒステリー起こした女みたいに
キーキー キーキー
泣き喚いて噛み砕く
ミキサーを眺めて
ぐるぐる ぐるぐる
もう黙って
回るマーブル模様を模倣する思考回路
ガラスの中身に生まれた答えまで
模倣出来ない曖昧ミーなジュースでグッドモーニング
本日も朝を彩る
詩人:凪都 | [投票][編集] |
あぁ、どちらまで?
ここまで?
どこまで
そこまで
浮き沈みの
意味無く笑うイメージに
ぶらぶら
両手を風にはためかせ
ここから
どこかへ
そこまで
どちらまで?
閉じた瞼の裏に問い掛ける
巻いた尻尾を
解いた空白にある違和感に捧ぐ
さぁむこう
こちらへそちらへあちらへ
あぁ、どちらまで?
とりとめのない白から黒
空に翳した両手
日と火と秘と
灯す邂逅へ足を、ふと
詩人:凪都 | [投票][編集] |
前フリ無く手を繋ぎ
音沙汰無くさようなら
右も左も前も後ろも
そこは確かに世界の真ん中
歩道橋天国の上
混濁し膨張した一瞬に
バイバイを催促する
夕闇のとうりゃんせ
カップラーメン一つ分
超えた時間に次は会える
詩人:凪都 | [投票][編集] |
この街は
アスファルトの海と
セメントの森に囲まれていて
ただ
コンクリートの大地
脱け殻のように
遠い目のまま
生きることだけは容易い街
本当の
君の脱け殻は
君の白い骨は
君の黒い髪は
この街は
君の肉体が
還りたい故郷へは
行く事が出来ない街で
肥やしにもなれない街
詩人:凪都 | [投票][編集] |
熱のない
白いご飯と
冷たい味噌汁の前
正座が
当たり前の日常
水滴まみれの
サランラップをひっぺがす
嗚呼
いつでも
手を合わせてはみるけれど
正しく習った
お箸の持ち方で
嗚呼
米を一つ
摘んで口へ
運んではみるけれど
無性に
歯の奥
詰まる 無常
詩人:凪都 | [投票][編集] |
太陽が昇る為の月
川が流れる為の山
光りが在る為の闇
僕の明日の為と
君の明日の為と
すれ違う他人と
誰かは誰かの為と
それなのに
中身の伴わない日々に縋りつき
暇と屍を踏み鳴らし言うのさ
また今日がきたって、ね