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凪都の部屋  〜 新着順表示 〜


[51] くりくり赤毛の瞬く瞳
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殻に


小さな穴を空けて


卵の


白身だけ
抉りだして


黄身だけ残して
黄身だけ残して

揺り籠に浮かべれば
君が声を上げるのだと


神様が言ったから


マッチを一本
擦ってみた

2006/07/10 (Mon)

[50] 北風
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白に浮かんだ黒い世界から
一粒二粒透明を零す頃

大地にしみ込み
土に薄い影を作る

向かい風にもかかわらず
留まっていた歩が
進みだしたら

足の裏に隠した雫を
そのまま踏み躙り
次は上の空で歌を唄う


弧を描くだけの口の奥
今日から少しづつ
牙を磨き始めよう

2006/07/09 (Sun)

[49] 南風
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音符を紡ぎだす唇
陽気に軽快にテンポよく

青すぎる空の下で
あの女の子は
花が笑っていると言う
草がささやいていると言う

早鐘を打つ心より早く
駆け出す体に追い打ちの南風

ヒラヒラはためく
朱色のスカートの
眩しいことと言ったら

一つにまとめた長い黒髪を
ゴムで縛り付けておくのも
ためらうほどの空模様の下
あの子は草原の海を
掻き分け走っていく


手のひらより
小さくならぬよう
こっちも頼むよ南風

2006/07/09 (Sun)

[48] 模様
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後ろからの南風に笑みを零す君なら
不意打ちの
真正面からの北風に訝しがるだろう

みんな曲者さ

四方八方へ
こんにちわとさよならを
誰もが携えて歩く

上空に渦巻く嵐
足元の草達の
夢の邪魔はしないつもり
だから今は誰も
君を撫でやしない

擦り抜けていくのが
一番風らしいはず

捕まえないでいてよ

空にかざした右拳の中
開けたってカラっぽな事
何かを信じているらしい

君も、君さえ
擦り抜けていく旅人は
草を踏み付けて歩く事を
良くは考えていない

2006/07/08 (Sat)

[46] リン
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その存在意義を
活かす為ではないが
それでも両耳を塞がぬよう
めり込んだ爪と一緒に
手のひらの中
みんな、みんな
包み込んでしまうから



2006/07/03 (Mon)

[45] 新月
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裸足で駆け出す子供
鳥目をこすって
マンホールを故意に踏む

星だけが見える晩の空
映す噴水の中にでも
月は沈んでしまった?


片足幅の赤レンガを
踏み外さず歩くから
明日は少しだけ
顔を見せて




2006/07/01 (Sat)

[43] 留守
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真っ白なノートの上
走らせるペンがない

足元には汚れたシューズ


指先に力を込めて
絞り捻り出す景色

いつか見た概念を
見に行くためだけなら
これ以上靴は汚れない

電話だけ待たせて
消しゴム片手に
行ってしまえ

2006/07/01 (Sat)

[41] 
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そこまで回らない頭が
結果的に【優しい人】の
レッテルを手に入れた

胸に堂々と
張れたもんじゃないが
しかし棄てられず
緩んだ涙腺を無視して
こっそり懐へ
しまい込んでいた

さよならと
はにかんで
手を振る一瞬に
ちらつく足元の
伸びた黒さえ
靴裏に潜んだ
闇で染まる頃

傾いた太陽は
今日も暴けず
不貞腐れて行った

2006/06/30 (Fri)

[40] アリア
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揺れる木の葉の
囁きに僕はフラフラと

腰を預けた大木は
逃げようとはしない

木漏れ日に濡れた身体
遠くの入道雲を見つめる

陽だまりの夢を見たい
鈍くなる瞬きで
誰かにお願いした

傍らの草が重なり笑う
誰に向けてなのか
関心が向く前に
目蓋の裏から
掻き出した空想

風に髪を撫でられても

もう

指一本動かせない。

2006/06/29 (Thu)

[38] 猫の猫
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日溜まり停滞地にて
昼寝で過ごす夏至の日
屋根に転がる黒
鍵尻尾を丸めた黒

耳に穴があるが
私のお洒落じゃない
けれどオッドアイは
何よりの自慢なの

裸足で駆け出して
思い出したように
たまに振り返り
首を傾げる黒

瓦から瓦へ
下を見ても
今はいない
今はもういない


名前だったらしい
誰もが呟いた
あれが
名前だったらしい

2006/06/22 (Thu)
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