詩人:サエ | [投票][編集] |
今宵幾度も思い出す
帰省の知らせを聞いたときの
あなたの声の高ぶりを
ちょっと早口で嬉々する姿を
まぶたのうらで思い浮かべる
また会えるその日まで
わたしの心臓はもつのかな
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女は抱かれたいんじゃない
求められたいんだ
抱きしめられて満足するときもある
身体が感じるだけじゃなく
こころが感じるから
文字だけで嬉々として
声だけで熱くなる
指が触れただけで濡れていく
大人になるほど
少女に戻っていく
身体と心はいつだってアンバランス
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小さな頃
手土産で貰った
ちょっと小ぶりできれいな洋菓子の缶詰に
ボタンを集めた
そのうち
帰り道のきれいな石や
くじで当てたイミテーションの指輪
小さなビーズの詰まった髪ゴム…
いろんな物が加わって
小さな缶詰には収まらなくなった
小さな私は選別を始めた
ときめくものだけ残して
それ以外は
丈夫そうな紙の箱に詰めた
入れ物を大きなものにしようとは
その頃は思わなかった
選別したものすらも捨てられず
別でしまっておくところに
既に優柔不断な私が確立していたように思う
もしかすると私は中身よりも
そのきれいな缶詰が気に入っていたのかな
ときめく感情はあまり好かない
期待してもいい結果ばかりではないから
むしろそっちが殆どだ
だから諦めている振りをする
はじめから欲しくないと偽って
傷つかない為に膜をはる
認めてほしくて
褒めてほしくて
期待されたら出来ないことさえやろうとする
失敗すると解ってて
誰かにとっての「普通」じゃないことが
私には一番怖いんだ
いつしか自分の感情も
見分けがつかなくなる
ものの善し悪しもわからない
子どもならよかった
こんな自分を実感するとき
やり直したいと思ってしまうとき
必ず涙がそばにいる
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あなたを失いたいなんて
無意味な強がりするから
ほらまたふたりは
離されそうになる
理屈じゃないと
分かっているから
離されても離されても
指一本で繋がっている
あなたに別れを告げられたなら
私は一言ありがとうと言って
去る準備はしていた
心が整っていたかは別として
あなたを困らせたくない
あなたに嫌われる勇気がない
今夜こうして全てを曝け出した私に
失うなんて無理だと言い放った
会えなくても心で繋がっていたいと告げた
改めて思ってしまった
この恋の為に
誰を傷付け
どんな嘘もつこうと
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結ばさらないって知ってて
繋がったのに
全部解ってて
ひとつになったのに
去り際も知らない愚か者
永遠なんて信じるほど子どもじゃないし
割り切れるほど大人でもなかった
ただ永遠を願ってしまった
あなたと見つめ合っていると
願えば叶いそうな気さえしてしまった
結局は心を気持ちを 愛情を求めて
彼は私の全てを欲しがった
欲しいものは手にしたはずなのに
握ってみると何も掴めていないことに気付く
声で姿で文字で 一時満たされても
ヒビの入ったグラスのように
穴の空いた鞄のように
満ちた想いは
あっという間に零れ落ちていく
恐ろしく燃費の悪い私
いつも想ってるって切り際の言葉も
心は側にいるって照れながら言った台詞も
響くとともに震えるほど嬉しいのに
どこか寂しさを覚えてしまう
気付くと途端に恋しくなってしまう
永遠なんてないって解っているから
やっぱり哀しいほど大人になっていたんだ
今胸が苦しい
割り切れるどころか
誰かを確実に傷つけた事実に
残り僅かな良心がひどく痛い
捌ける器もないのに手を伸ばすからだ
なのに後悔はしていない
支離滅裂な思考に自分でも呆れる
空腹なのに胃もたれしている今のように
私の恋は矛盾だらけだ
一旦決意してもすぐまた迷う
迷ったところで
サヨナラなんて言えるはずないのに
彼も私もずるくて悪い
けどどちらも中途半端だ
とことんずるくもなく
とことん悪者でもない
だから尚更厄介なんだろう
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完成するはずのないパズルを
しているみたいだ
完成しないのなら
投げ出して終わらせてしまえばいい
ピースが足りないとわかっているなら
始めからやらなくちゃいい
手をつけてから
足りないと嘆くのは見苦しい
手をつけてしまったのなら
穴だらけのパズルで
満足するしかないんだ
たとえ穴だらけで
何の絵なのかまるでわからなくとも
そうするしかないんだ
足りないピースの代わりは
できないのだから
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私が私を嫌うから
私が私を信じないから
誰のどんな囁きも枯れていく
弱虫なのに意地っ張り
多感故に身動きが取れなくて
自分の痛みにばかり敏感で
他人を無意識に傷つける
暗闇のなか ビクビクしながら
棒を振り回しては 一歩進んで二歩下がる
自分を守ることに必死で
周りが見えない子どものよう
一番自分を認めてないのは 私だ
一番感情を雑に扱ってるのは 私だ
何より自分を守っているようで
一番自分を傷つけてるのは 私なんだ
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平穏が嫌なんじゃない
刺激が欲しいんじゃない
こんな私だから一時満たされても
一向に満ち足りないんだろう
甘えたいのに強がって突っぱねるのは
それでも追ってきてほしくて
手を伸ばして繋ぎ止めてほしくて
少し離れては振り返って確かめる
面倒な私でも構ってくれるか確かめる
幻滅されないか確かめる
馬鹿なくせしてこんな計算高いこと
本当に愛想尽かされたらどうしよう
都内の人気レストランじゃあるまいし
次の予約は3ヵ月先だなんて
気が遠くなりそうだよ
変わらないなんてきっとない
ずっとなんてあるはずない
でも出会い直せたらまたそこから始まる?
甘いだけの時間で満たされる?
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適度な距離でなくなってしまった いま
頼れるのは 互いの想いだけなのに
変な強がり 無意味な意固地
愛されたくて 確かめたくて
私から連絡しなきゃ あなたは身動き取れないの
知ってるのに 懲りずに自分の首をしめる
24色だろうと48色だろうと
好きな色は決まっていて
そればかり使ったら そればかり減っていくのに
いつまでもわがままな子どもね
たくさんの色なんて意味ないの
鍵のかからない引き出しのなかにしまった あなたへの想い
眠れない夜に引っ張り出しては 飽きずに眺めて
ひとりの世界に沈む時間が 私の救い
私の中から去って行った ひとつのいのちを抱きしめては
今日もまた 静かに夜明けがやってくる
ふたりのときは あんなに拒んだ夜明けも
ひとりのいまは 安らかな心へ導いてくれる光
ほんの一瞬でもね
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知らないでしょ?
空が白んでくるまで
貴方が頭の中を占めていること
知らないでしょ?
貴方がわたしに費やす時間が
目に見えて減ったこと
知らないでしょ?
心配かけたくなくて
眠れないって言えないこと
知らないでしょ?
わたしがこんな脆いこと
わたしのせいで 困らせたくはない
なのに
わたしのために いつまでも困ってほしい