詩人:サエ | [投票][編集] |
あなたはいいひと?わるいひと?
わるいひとは休まない
わるいことは夜に起きるとは限らない
あなたならばいいもわるいもない
いちにちの始まりを
朦朧としたまま
あなたと迎える至福
あなたが降ってくる地獄
いろんな奇跡重なって
そんな一日どうしたって
それ以上心動くことあるはずない
今だけ
わたしの中で悦んで
今だけ
最後の秘密をつくろう
もうしないから
もう欲しいだなんて言わないから
もう満足するから
神様、
今だけごめんなさい
詩人:サエ | [投票][編集] |
わたしも彼もあの人も
みんなもれなく嘘をつく
今夜あなたを諦めるのに
わたしはどれだけ車を走らせた?
どうしても噛み合わない日は
だいたい
どうしてもあなたに会いたい日
だったりする
あなたの深夜の
おやすみのメッセージは
今夜どうして
こんなに胸を締め付けるの?
わたしと過ごす他に
あなたがこんな時間まで起きてること
わたしの知らないあなたの時間
わたしの知らないあなたの顔
きっとあなたは教えてくれない
きっとわたしは知る由もない
当たり前にリンクしないふたりが
交わるのはあと何度だろう
もうなかったりするのかな
熱に浮かされたまま
放っておかないで
つかず離れずの距離は
鋭く生温いトゲだ
わたしから笑顔も涙も
奪っていかないで
消去するなら記憶ごと
あの花火の夜から始まった
苦くて甘くて半分溶けた
チョコレートみたいな
暗闇の中の頼りないろうそくみたいな
細くねじれて絡まったみたいな
今にも切れそうなふたりの糸を
吸い差しのたばこの火で
焼き切って
きれいになんて切れなくていい
焼け焦げた匂いと
くすぶった熱がとれないくらいでいい
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私が寝坊すると
手を引かれて校門まで一緒に歩く道
雨が降ると
車に乗せて送ってくれた道
彼と手を繋いでいると
犬の散歩中に出くわして気まずくなった道
あなたが空に昇る日
運転手さんに頼んだよ
あの道を通ってもらえるように
痩せてしまっても
歩けなくなっても
食べれなくなっても
もうあまり見えなくなっても
私の声に応えてくれてありがとう
小さな頃、
冷たい私の足をいつまでも温めてくれてありがとう
お風呂で英語おしえてくれてありがとう
いじめられると怒って助けてくれてありがとう
学生時代、
素行の悪い私を全力で叱ってくれてありがとう
タバコやめてくれてありがとう
母と沢山出かけてくれてありがとう
家族を愛してくれてありがとう
最期に間に合わなくてごめんね
ひとりで逝かせてしまってごめんね
まだあまり実感がないのだけど
やっぱり寂しいよ
夢に出てきてとお願いしてるのに
こんなに会いたいのに
まだ当分上を向けなくても
前だけは向いているから
また明日も
私はあの道を歩くから
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ぜんぶくれなくっていいよ
半分にしても多いかも
よんぶんのいち位がちょうどいい
一年のなかのよんぶんのいち
一日のなかのよんぶんのいち
あなたの頭のなかのよんぶんのいち
それさえ贅沢かな
私には
やきもちも約束もできないから
よんぶんのいちください
時計の針の音が
私達の邪魔をする
早く早くと邪魔をする
カウントダウンが始まった
よんぶんのいちの愛情と
よんぶんのいちの欲情と
よんぶんのいちの涙と
よんぶんのいちの恋心
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初恋のはじまりは
彼が壇上に上がった瞬間
私の世界が変わった瞬間
募る想いは伝えようもなく
溢れる気持ちを打ち明ける術もなく
3年間 ただ毎日彼に会える特権を私は持っていた
彼の靴音、笑い声、袖を巻くる仕草
真剣な眼差し、車のナンバー
今でも 昨日のことのように思い出す
10年ぶりの彼の姿
何ひとつ変わらない姿
彼だけ刻が止まったように
何ひとつ色褪せない
私がいくつ歳を重ねても
彼との差は縮まる筈はないのだけど
大人になった今
見上げるばかりの壇上に
私も並べたようで
不思議と安堵するの
当時は夜も眠れないほど焦がれて憧れては
苦しくて切なさで仕方なかった恋
今は眠れない夜にまぶたの裏に浮かんでくる
笑みすら溢れそうなほど
微笑ましい睡眠導入剤のような思い出
あの時私が想いを伝えたことを
彼が今でも覚えていてくれたから
これからも私の初恋は
永遠に生きていく
褪せることもなく
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会いたい人に
会いたいと言われて
声が聞きたいと言われたら
ちょっとの我慢なんて
一息で吹き飛ぶ
すぐにでも会いたいのに
会えると言わないのは
会いたいと何度も言って欲しいから
会いたい想いを募らせて欲しいから
余裕なんて少しもなくなって欲しいから
最低なわたしを受け入れて
歪んだわたしを見て
どうしようもなく空っぽなところを
あなたで塞いでください
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電話してもいい?
いつもよりちょっと駆け足なメッセージが嬉しかった
まるで私が恋しいようで
まるで私を求めるようで
それが勘違いでも
ばかな私は幸せだ
この幸せのために
ばかなふりだってしよう
かわいいと聞こえるたび
私が照れて笑うから
笑えていて良かったと
あなたもまた笑う
限られた時間の中の
束の間の至福は
あっという間に過ぎて
私をまたひとりにする
だけどあなたが今夜
耳元で私の名前を呼んだから
ひとりの夜も満たされる
私のなかに少しでも
あなたの声が残っているうちは
どんな夜も満ちていく
消さなきゃいけないメッセージを
いつまでも眺めては
数時間前の自分に嫉妬して
電話も切れない優しいあなたに代わって
後ろ髪ひかれながら
電話を切った自分に後悔して
あなたが眠りにつくまえに
思うのが私であるようにと、
あなたが目覚めたときに
浮かぶのが私であるようにと、
相変わらず図々しく願ってしまう
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女のスイッチが入る
あなたがわたしの手を握ったら
音もなく でも確実に
あなたがわたしの髪を撫でたら
じんわりと でも早足で
簡単に「すき」と言えないふたり
抱きしめるたびに 聞こえてくる
「あいしてる」って 心で言った
あなたが照らす わたしの素直
わたしが包む あなたの弱さ
自分の肌も邪魔なほど
ひとつになりたくて
触れたところがすべて愛しくて
あなたの跡を追うように
ひとりになって も一度撫でる
ひとつ残らず覚えておきたい
香りも眼差しも温もりも
テーブルの下の悪い手も
鼻にかかった声もポーカーフェイスも
あなたをつくるすべてを
今夜わたしから手を握ったら
わたしがあなたの頬を撫でたら
きっと
あなたの男のスイッチを
わたしが入れる
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たいせつなものは
どうしてひとつじゃないんだろう
わたしは居るよ
わたしは要るよね
ひとりになるのと
ひとりにさせられるのは
違うよね
嫌われても記憶に残る人と
忘れられたいい人なら
どっちがいいだろう
大体わたしは少数派
言いたいことを飲み込みすぎて
言いたいことも言えなくなって
言いたいこともわからなくなった
そんなわたしが即決したこと
あなたにあとで何を言われて
悩むことになろうとも
何度涙を流すことになろうとも
この決断にひとつの後悔もないこと
わたしの中にもわたしは居たんだ
当たり前の発見にひとり
子どもみたいに喜び照れた
間違えないよう つまづかないよう
だいたいいつも下を向いてた
立ち止まって 息を吸ったら
ひとりでも見上げた夜空は澄んでいた