詩人:EASY | [投票][編集] |
鳴く鳥
犬の散歩をしている人
ヘリコプターの音
波のない海
雲のない空
ベトナム人の会話
多すぎるベンチ
大量の枯れ葉
夕日直前の太陽
騒がしい思考
不味いタバコ
遊ぶ子供
シングルマザーかも知れない人
そうかも知れないと思う僕
可視光を見る目
一定の空気を読み取る耳
ゴミを拾う人
苗字が五味だったらたと
思う僕
釣りをする人
しない人
芝生の匂い
芝生以外の匂い
溢れるもの
溢れないもの
忙しい思考
足りないものはない
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溢れるほどの愛しさを持って
何処へ行けばいい?
酔いからは覚めても
夢からは覚めていない
酔った勢いでした君への愛は
盛りのついた猫であり
夢の中で示した君への愛は
鏡に映った僕の姿だ
溢れるほどの愛しさを持って
何処へ行けばいい?
人は皆
何事もないように
さ迷っている
まるで
何事もないように
笑って 泣いて 怒って
働いて 遊んで 眠る
生きることに
希望を持って 苦しんで
死ぬことに
希望を持って 苦しんで
生命という循環の中に
儚き意思と感情を持ちながら
今にも壊れて
消えてしまいそうな
シャボン玉のように
人は皆
さ迷っている
悪くないのに悪くして
正しくないのに正しく仕立て
僕たちはただ
生まれた
誰に是もなく非もない様に
そんな罪なき人たちの
瞳は愛に溢れてる
僕たちはその事を
忘れる様に
その愛しさを
映さぬように
生きることを強いられた
弱肉強食 文明科学
共生繁栄 民主主義
いかにもそうでありそうな
目的意識を持たされて
溢れるほどの愛しさを持って
何処へ行けばいい?
この愛しさが溢れ出すとき
僕は
何処かに行かずには
いられない
何故だろうか?
溢れるほどの愛しさを持って
何処へ行けばいい?
夢から醒めた時
この夢を語ろうとする時
言葉ではなく
この愛しさだけが
それを伝える唯一の
理解なのかも知れない
だからきっと
この溢れるほどの愛しさを持って
何処かに行かずには
いられなくなるんだ
これはずっと
此処にあるから故に
僕たちをつき動かそうと
してるんだ
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お互いに気になっている
その箱の中身
お互いがお互いに
期待を込める
そのプレゼントの中身
リボンはカラフル
大きさも手頃
大事そうに持つその手
互いの期待を裏切らない
はにかんだ笑顔
すべてが完璧だ
お互いに欲しいものは
リサーチ済みだ
期待通りの展開で
事は進む
でもね
僕の箱の中身は空っぽなんだ
申し訳ないとは思うけど
それは空っぽなんだ
君の欲しいものを
僕は持っていないんだ
でもね
僕の持っているものは
何でも君にあげるよ
それが愛だったら
いいなと思う
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僕たちには
操作できるものと
できないものがある
人の気持ちは操作できない
自分の気持ちは操作できる
それを踏まえると
正しい愛し方の何らかが
分かりそうな気がする
一方では
僕たちには
操作できるものと
操作できないものがある
自分の気持ちは操作できない
それを許すことは操作できる
それを踏まえると
僕らが愛されていることが
分かりそうな気がする
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川の流れは疲れない
風の行方は分からない
花は誰かを意識して
綺麗に咲こうとしていない
川が疲れたら?
風が行方を気にしたら?
花がうつむいたら?
寝言は寝て言えとでも
言いたくなる
でも
それが僕たちのことだったら
ごく普通に受け入れられる
それは無理もない
だって僕たちは
眠っているのだから
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君が君らしくいる為に
必要なものは何もない
そしてそれは
全宇宙が全歴史を持ってしても
歓迎され得るべきことだ
そしてまた
君が君らしくいられない
その理由もまた
君が君らしいことの
証しでもあるのだ
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期待と落胆は
とても中が良い
どちらかが来れば
もう片方もやって来る
性格はまるっきり逆なのに
いつも互いを意識して
いつも互いににらみ合う
なのにいつも
なんだかんだ一緒だ
僕はいつも
この二人の仲を
引き裂こうとしてる
お節介な奴だ
気が合わないから止めておけ
と
言っておきながら
密かに期待を狙いながら
独り占めにしようとしてる
でも
もう諦めた
期待と落胆は
運命で結ばれている
最高の相性だ
僕はその事に気づき
それを歓迎し
それを祝福し
それを微笑ましくさえ
眺めている
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観念への膨大なメモ書きが始まる
生まれた瞬間に手渡された
このノートは
今や数え切れないほどの数になり
僕の部屋に山の様に積まれている
書き直したい所は山ほどあるが
山ほどのノートの中から
それを探すのは
ほぼ不可能であり
見つけた所で
この漆黒のペンで書かれた文字を
消すのは至難の技だ
最後の手段として
僕は何度も
この部屋から出て行く事を試みたが
僕の全てを捨ててしまう様な気がして
その一歩が踏み出せない
僕はその間も
何かに取り憑かれたかの様に
メモ書きをしている
外の様子は気になるが
山の様なノートは
窓さえも覆い隠す
時々インターホーン越しに
外の人との会話をするが
インチキなセールスや
怪しい宗教の勧誘にしか聞こえない
その会話さえ
この山の様なノートから抜粋してる
僕の危うさが
そうさせているのだろう
僕の部屋にはテレビがあり
メモ書きのテクニックを教える番組が
繰り返し放送されている
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そう言い放つ目は
瞳とは言い難く
必ず水平よりは少し
上を見ていて
目が合いそうで合わないのだ
僕は一度
それを注文したが
それは
驚くほど精巧な地図の描写で
目的地を設定するだけのものであった
それすら僕は
メモをするに過ぎないのだ
そしてそれは
いつかこの部屋を出るまで
続いて行くのだ
いつかは必ず
この部屋から出て行く
やって来たからには
出て行く日が必ず来るのだ
僕が僕であるが為の
山の様なノートを後にして
僕はこの部屋を後にする
そして
互いに
ノートでしか見たことのない
君に会いに
あの約束の場所へ
向かうのだ
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天気の話しをし尽くした僕らは
暫しの沈黙に入る
その焦りは隠しようもないので
耐えきれず
誰かが愚痴を口にして
皆でその同盟を組む
だが
その結託も、また薄すぎて
隠しようもないので
耐えきれず
誰かが昨日の晩飯の話して
一様に盛り上がる
その後また
暫しの沈黙に入る
僕たちはどことなく
不安な顔をしながらも
次の話題を待つ
その愛しさは隠しようもないので
僕たちはわざわざ
この愛しさを話題にはしない
その愛しさを
ほんの一瞬確かめた後
その溢れかたに耐えきれず
誰かが
明日の天気を話し出す
一様に頷き出した僕たちは
我に返ったかのように
その隠しきれない愛しさを
またいつもの様に
懸命に隠している