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[194155] 僕の部屋

詩人:EASY

観念への膨大なメモ書きが始まる

生まれた瞬間に手渡された
このノートは
今や数え切れないほどの数になり

僕の部屋に山の様に積まれている


書き直したい所は山ほどあるが
山ほどのノートの中から

それを探すのは
ほぼ不可能であり

見つけた所で

この漆黒のペンで書かれた文字を
消すのは至難の技だ


最後の手段として

僕は何度も
この部屋から出て行く事を試みたが

僕の全てを捨ててしまう様な気がして
その一歩が踏み出せない


僕はその間も
何かに取り憑かれたかの様に

メモ書きをしている


外の様子は気になるが

山の様なノートは
窓さえも覆い隠す


時々インターホーン越しに
外の人との会話をするが

インチキなセールスや
怪しい宗教の勧誘にしか聞こえない

その会話さえ

この山の様なノートから抜粋してる
僕の危うさが

そうさせているのだろう


僕の部屋にはテレビがあり

メモ書きのテクニックを教える番組が
繰り返し放送されている

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そう言い放つ目は
瞳とは言い難く

必ず水平よりは少し
上を見ていて

目が合いそうで合わないのだ

僕は一度
それを注文したが

それは

驚くほど精巧な地図の描写で
目的地を設定するだけのものであった


それすら僕は
メモをするに過ぎないのだ


そしてそれは

いつかこの部屋を出るまで
続いて行くのだ



いつかは必ず
この部屋から出て行く

やって来たからには
出て行く日が必ず来るのだ


僕が僕であるが為の
山の様なノートを後にして


僕はこの部屋を後にする


そして

互いに
ノートでしか見たことのない

君に会いに

あの約束の場所へ
向かうのだ










2017/12/19 (Tue)
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